フルトヴェングラー: Polydor/HMV録音~2つの運命、英雄、未完成、悲愴、他 4枚組 2024年12月6日発売
新たなフルトヴェングラーの名盤登場。
細かい内声やニュアンスが驚くほど明瞭になりました!
多くの復刻盤が存在するフルトヴェングラーですが、ダイレクト・トランスファーで生々しい音が蘇りました。
「悲愴」は独ELECTROLA DB 3328/32S使用。SP録音が頂点に達した1930年代後半のもの。テープ録音時代には聴き取れなくなったオーケストラ内声部の細かな動きが明瞭に聞こえるのはSPならでは。これまでの復刻盤ではそれがノイズと共に消え去ってしまっていました。ベルリン・フィルがフルトヴェングラーの指揮のもとで巨大な怪物と化し、そのウネリが聴き手を恍惚の境地に導いてくれます。
「未完成」は墺HMV DB 21131/3使用。第2次世界大戦後の1950年にウィーン・フィルを指揮してHMVに録音したもので、磁気テープ録音と思われます。SP最末期のたいへん珍しいもの。
1937年の「運命」は独ELECTROLA DB3328/32S使用。フルトヴェングラー英HMVへの初めての録音。ベルリンのベートーヴェンザールから電話線でエレクトローラのカットルームに中継され、そこで原盤が作成されました。ドイツ録音はエレクトローラ原盤で聴くと音の厚みや深い奥行き感があるから不思議です。
ヴァイオリン協奏曲は蘭HIS MASTER'S VOICE DB6574/9使用。フルトウェングラーはドイツ敗戦後に戦時中ナチスへの協力を疑われ、1947年4月まで演奏活動が禁止されました。これは1947年8月に音楽祭に再登場した記念の録音。ソリストのメニューインはフルトヴェングラーのナチス協力疑惑を晴らす証言で弁護にあたったことでも知られています。SPレコード最後期の録音。
「英雄」は英HIS MASTER'S VOICE DB 9296/9302使用。大戦後まもない1947年11月に4日間かけて録音が行なわれ、1年3カ月後に修正録音を行い全曲が完成しました。フルトヴェングラーは1952年11月に再録音しているため、このSP録音はあまり知られていません。
1926年の「運命」は日POLYDOR 60024/28使用。フルトヴェングラー最初のレコード録音で、1925年に始まったマイクロフォンを使用した電気録音ですが、ドイツ・ポリドール社は米ブランズウィック社が考案したライト・レイ方式を採用しました。若き日の大指揮者の姿が浮き彫りにされているような素朴で力強い音で、3回に分けて録音。
「グラン・パルティータ」は英 HMV DB 6707/11使用。ベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」と同時期に録音され、原盤番号が「英雄」と入り組んでいます。録音場所はムジークフェライン内にある室内楽用小ホール。「英雄」の録音中に13人の管楽器奏者をここへ移動させて録音したと推測されます。
(キングインターナショナル)
【曲目】
フルトヴェングラー:Polydor/HMV録音
Disc1
(1)チャイコフスキー:交響曲第6番ロ短調Op.74「悲愴」(1938)
(2)シューベルト:交響曲第8番ロ短調「未完成」(1950)
Disc2
(3)ベートーヴェン:交響曲第5番ハ短調Op.67「運命」(1937)
(4)同:ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op.61 (1947)
Disc3
(5)ベートーヴェン:交響曲第3番変ホ長調Op.55「英雄」(1947)
Disc4
(6)ベートーヴェン:交響曲第5番ハ短調Op.67「運命」(1926)
(7)モーツァルト:セレナード第10番変ロ長調K.361「グラン・パルティータ」
【演奏】
ユーディ・メニューイン(ヴァイオリン)(4)
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指揮)
ベルリン・フィル(1)(3)(6)
ウィーン・フィル(2)(5)(7)
ルツェルン祝祭管弦楽団(4)
【録音】
1938年10月15日-27日/ベートーヴェンザール(ベルリン)(1)、1950年1月19日-21日/ムジークフェライン大ホール(ウィーン)(2)、
1937年10月8日、11月3日/ベートーヴェンザール(ベルリン)(3)、1947年8月29日(4)、
1947年11月10日-12日、17日/ムジークフェライン大ホール(ウィーン)(5)、1926年10月16日、10月30日、1927年1月30日/ベルリン(6)、
1947年11月10日、19日、26日、12月3日/ムジークフェライン小ホール(ウィーン)(7)