インタビュー

YUKI(3)

いちばん重要なのは、やっぱ愛

……あの~、ぶっちゃけ、今現在、すごく規則正しい日常を送ってません?

「あはははは(爆笑)! ええ、まさにそうですね。もう本当に規則正しく。あのね、いまは、とにかく辛くない創作活動をしたいんです。 昔はギリギリでやってたこともあったけど。それこそ、すごい精神状態で。そのときは、すごい力が生まれて曲が売れたりもしましたけど。 いまは寝ないで3日間徹夜でレコーディングしたからとか、そういうのってなにか違うんじゃないか?と思っていて。 いま、私、ジムに通ったりして身体を鍛えてるんですけど、そういった<自分を奮い立たせてくれるもの>にすすんで向かっていくっていうのが、なんか最近は楽しいんですよね。 それがポジティヴなのかどうかはわからないけど。でも、そういった感覚は少なからず作品に滲み出てると思いますけどね。なんていうか健全な感じが」。

朝・昼・晩の3食しっかり食べてる人にしか出し得ないような(すごい例えだ、しかし)地に足ついた表現。オーガニックやナチュラルといった言葉が空々しく思えてしまうぐらい、ごくごく自然で日常的な感覚を、今作からはしっかりと感じ取ることができる。

「本当!? (同席したスタッフに向かって)やっぱ、伝わるもんなんだねぇ。やった!嬉しいな。けど、それも私の中から自然と出たものだから、必然的にそうなっちゃうんですよね。伝えたいことはいろいろあるんだけど、でもね、いちばん重要なのは、やっぱ愛。本当の愛を知ったからこそ、私はやっとこういう歌が歌えるようになったんだろうし。知ってしまった以上、私はもう愛を表現せざるを得ないから。大事なところをわからない人がいっぱいいるので、もったいないぞ!と思ってますね。だからいまは小さなことから徐々に伝えられればいいなと思っているんですけど」。

 彼女が言う小さなこととは、実はこんなところにも表れていて。最後に今作のジャケットにまつわるちょっとイイ話をご紹介。

「私、映画の<スタートレック>が大好きで。今回、ジャケットでも<スタートレック>に出てくるバルカン人のポーズをとっているんです。<リヴ、ロング&プロスパ->っていうんですけど、この手の形は長寿と繁栄を意味してるのです。さらに私はそこに<愛を誓います>っていう意味も込めていて。だから私はここで左手を上げてるんですよ」。

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掲載: 2002年04月11日 03:00

更新: 2003年03月07日 19:20

ソース: 『bounce』 230号(2002/3/25)

文/望月哲