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インタビュー

関美彦

前作『Five Easy Pieces』に引き続き、曽我部恵一との共同作業から生まれた新作『SEX, LOVE & SEA』。ナイス・フォーク!ナイス・ソウル!ナイス・ポップ!が誘う素敵な旅に出掛けてみる?いや、出掛けてみようよ!

モテそうなヤツを作ろう

 〈穏やかな種類のミュージシャンで、気持ちのいい人間〉――と、曽我部恵一・著「昨日・今日・明日」の中の表題コラムで紹介されている人物が、 元バターフィールドの関美彦であることは、知る人ぞ知るノンフィクション。 昨年暮れのミニ・アルバム『Five Easy Pieces』は、関がアパートを追い出されるところから始まる(曽我部との)出会いさながらに微笑ましかったけど、 そのタイトルを若きジャック・ニコルソン主演映画にあやかっていたのは少しやるせなかった。で、このたび届いた『SEX, LOVE & SEA』。思わずゲンスブール“Sea, Sex & Sun”なんて浮かべさせるから、そんな含みを察すれど……

 「まあ〈Sex & Drugs & Rock & Roll〉のパロディーみたいな感じで、とくにこれといった根拠もないです」

って、 それじゃ色めき立ってるヴォーカルはどういうコトですか?

 「えーと、歌に関しては漠然とジョアン・ドナートのダブル・ヴォーカルの感じが頭に残ってて……トリプル、ダブル、シングルと使い分けたりしたんですよ。 とにかく歌をちゃんと録ろうというのは(プロデューサーの)曽我部くんの意向で、オケ作ってる時間と歌入れてる時間がほとんどいっしょ。オケはワン・テイクが多いけど、歌は何度も歌い直したから」

 彩りを添えるトラック・メイクは、曽我部以下、高野勲、木暮晋也、小島大介、伊賀航、武藤さつきといったサークル・オブ・フレンズ。本人がその気になるのを津々と促しつつ。

 「前回は〈声を絶対に張らないでくれ〉というディレクションがあったんですけど、今回は〈モテそうなヤツを作ろう〉と言われて(笑)。で、モテるためには腹から声を出さなくちゃって」

 そこで一段と映えてくるのが持ち前のモダン・ポップ・テイスト。ピーター・ゴールウェイあたりのナイス・フォークスに通じる洒脱さがほのかに揺れ始めます。趣向良好、意気衝天。

 「でも、こんなにユルい感じに仕上がるとは、自分でも思ってなかったです。録ってるときはめちゃタイトで、チャック・レイニーじゃないか?みたいなつもりだったんですけど(笑)」

▼ 文中に登場するアーティストの作品紹介。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2002年04月25日 18:00

更新: 2003年03月07日 18:20

ソース: 『bounce』 226号(2001/10/25)

文/萌木 里