NYアンダーグラウンドにおけるライヴ・ブラック・ミュージックの現在
ソウライヴが結成されたころから現在に至るまで、NYアンダーグラウンドでのライヴ・ブラック・ミュージックの潮流は熱く息づいている。99年に定期的に開かれていた<ブラック・リリー>というルーツのプロデュースによる黒人女性ヴォーカルたち(つまり彼女たちが<黒い百合>と呼ばれる)をフィーチャーしたパーティーでは、アーシュラ・ラッカー、エリカ・バドゥなどさまざまな伝説の黒い百合がステージに上った。今年6月に一度だけブラック・リリーは復活ライヴをおこなったが、スタンディングで満員のウェットランズは観客すべてが黒人であった。このパーティーの黒人からの支持の高さがわかる。
<ブラック・リリー>出演アーティストのアルバムを紹介。左から、『SupaSista』(!K7)、エリカ・バドゥ『Mama's Gun』(Motown)
またイースト・ヴィレッジにあるイジー・バーでは、2001年6月から半年間に渡って毎週火曜深夜にオープンマイクのヒップホップ・パーティー<ザ・リアル・ライヴ・ショウ>がおこなわれていた。これは生バンド(ダナ・マレイ、エリック・リーヴィス、ジェイムズ・ハート)にゲスト・プレイヤー、MCたちが飛び入り参加する<インプロヴァイズド・ヒップホップ・パーティー>。ジャズ・ミュージシャンながら純度100%のストレート・ヒップホップを演奏する。 広東語でラップするブロンクス出身の黒人ラッパーなど、曲者揃いの超ハイテンションにしてハチャメチャなエネルギーのパーティーで、毎週入口から人が溢れるほど大盛況を重ね、フリーダムや、エケネ、トパーズなどヴェロア所属アーティストも飛び入りした。ソウライヴのエリック・クラズノーもギターを持って訪れ、DJロジックも2週連続で遊びに来た。このようなNYのブラック・ミュージックのライヴ・シーンの動きを背景に、ソウライヴも現れてきたのだ。
<ブラック・リリー>出演アーティストのアルバムを紹介。左から、エケネ、ソウライヴが収録されたコンピ『Genesis Of Groove』、トパーズ『The Zone』(共にVelour)
- 前の記事: Soulive(2)
カテゴリ : インタビューファイル
掲載: 2002年05月09日 20:00
更新: 2003年03月07日 16:33
ソース: 『bounce』 228号(2001/12/25)
文/松永誠一郎