Westlife
ちょうど1年というスパンで届けられた新作『World Of Our Own』は、ポップ性とア ーティスト性の狭間で生まれたチャレンジ作品となった。つねにシーンの発火点であ る彼らが、つぎに打ち立てる記録とは、果たして……?
レコード・ブレイカー、ウエストライフ
99年のデビュー・シングル“Swear It Again”に始まる7曲連続全英No.1獲得という華々しい記録(これはビートルズに並ぶもの)を筆頭に、これまで発表した2枚のアルバムはいずれもマルチ・ミリオンの大ヒット、さらにマライア・キャリーとのデ ュエットなどなど……。デビューからわずか2年でこれだけの成功を収めたウエストライフは、いまやイギリス/アイルランドの国民的ポップ・グループと言っても過言ではない。
もちろん、その人気の要因として、美形男子5人組ゆえのアイドル性を無視することはできない。が、同時に、デビューから2年間のほとんどを精力的なツアーとレコーディングに費やし、みずからの音楽をビルドアップしてきた彼らの姿勢、音楽性には、単にアイドルとして括るにはあまりに惜しい、永遠のポップスが息づいているのだ。そんな彼らが早くも3作目となるニュー・アルバム『World Of Our Own』を完成させた。
「制作に入る前に、いままでのキャリアを振り返ってみたんだけどね、改めてツアーやレコーディングのすべてがウエストライフの生活の一部なんだということを実感したんだ。そして、そんな僕たちの世界を表現したいと思った。だから、このタイトルは、まさにズバリだよね(笑)。これが僕たちの世界なんだ」。
そう語るのはグループのまとめ役的存在、キーアン・リーガン。どうやらアルバム完成直後から彼らは猛烈なプロモーションを展開しているらしく、口調もハイ・テンションだ。
「今回のレコーディングは、じっくり時間をかけて、集中してやろう、と決めていたからね。レコーディング中にインタヴューやTV出演はいっさい入れず、数か月、スタジオに缶詰状態になっていたんだよ。おかげですごくいいものが出来たと思う」。
そのレコーディングの大半は地元ダブリンにて。プロデュースは、彼らとは縁の深いスティーヴ・マック(ボーイゾーン、ファイヴほか)とスウェーデンのヒット請負コンビ、ベール・マグヌッセン&デヴィッド・クリューガー(バックストリート・ボ ーイズ、ブリトニー・スピアーズほか)がメイン格で参加。しかしながら、このプロデューサーたちが手掛けてきたアーティストたちとはさらに一線を画す、ウエストラ イフらしいメロディアスなポップスが、より美しく鮮やかに響く仕上がりになっている。なかでも叙情的なメロディー/ハーモニーが素晴らしいファースト・シングル“ Queen Of My Heart”の美しいこと!
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カテゴリ : インタビューファイル
掲載: 2002年05月30日 18:00
更新: 2003年03月03日 21:58
ソース: 『bounce』 227号(2001/11/25)
文/染野 芳輝