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インタビュー

『inner film』に潜む、さまざまな音楽性を解読してみよう!!

bayakaの新作『inner film』は、非常に強い個性と伝統を持つ多国籍な音群が、素材としてふんだんに用いられている。AR・ラフマーンの“Mumbai Theme Tune”(ボンベイ・テーマ)を思わせる壮大なオーケストラ曲の“Seasons”では、ヴァイオリニストとして知られる土屋玲子の二胡が、東アジア的な世界観を強く訴えかける。“Pia”はシタールとインド人女性サイー・ハルドルの歌に打ち込みのタブラが重なった北インド声楽。UKエイジアンの走りでもあったシーラ・チャンドラにも似た、インド現地の音楽ではありえない音のバランスを聴くことができる。


左から、AR・ラフマフーンによる映画『Bombay』(オルターポップ)、シーラ・チャンドラ『The Zen Kixx』(Real World)

“Mi Cuerpo Tocaito Con Agua Mar”は大淵博光の日本人離れしたスパニッシュ・ヴォーカルに、ザキール・フセインに師事した吉見征樹のタブラ、土屋の二胡が組み合わされた異形のカンテ・フラメンコ。“Redial”は、ECMで長年多国籍な音を作り続けてきたラルフ・タウナーのオレゴン時代の名曲を、同門の先達に対するリスペクトからか完全コピー。“Manicero”はディープ・ルンバのヴォーカリスト、シオマラ・ラウガーの優雅なアフロ・キューバン・ソング。“Purple Valley”はフィラデルフィアのDJ/ポエット、リッチ・メディーナによるポエトリー・リーディング……。まさに、一癖も二癖もあるエキゾな素材をMitsuruとTeruoの強い思念がギリギリでつなぎ止め、リプロデュースした結果、いままでどこにも存在しなかった美しい音がここに生まれたのだ。

左から、オレゴン『Ectopia』(ECM)、ディープ・ルンバ『A Calm In The Fire Of The Dance』(American Clave)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2002年06月13日 18:00

更新: 2003年02月13日 12:38

ソース: 『bounce』 232号(2002/5/25)

文/サラーム海上

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