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インタビュー

Date Course Pentagon Royal Garden(4)

ジョン・マッケンタイアとは正反対の方法論

──ところで、トータスの来日公演で前座をやられるそうですが、同じように生のグルーヴなりダイナミズムなりを見直す姿勢はあっても、トータスとDCPRGっていうのは、全然違うアプローチをしていますよね。

 違うね。逆だよね。実は、このアルバムも録音から編集、トラックダウンまで全部ProToolsしか使ってないんですよ。 その意味では、SOMA(トータスのジョン・マッケンタイアによるエレクトロニック・ミュージック・スタジオ)でジョン・マッケンタイアがやってるのと同じスタイルではあるんですけど、きれいに録音して、とかじゃなくて、ほんとにテープの代わりに使ってるんですよ。 SOMAがすごくエレガントなProToolsの使い方だとしたら、もっとも小汚いやり方。 ほんとは、アナログテープずっと回したいくらいだったんですよ。 でも音色とかより、編集が大切だったんです。テオ・マセオ・リスペクトもあるから(笑)。 録りは3日くらいだったんですけど、編集は2週間以上やってましたね。聴感上はサクッと演奏しているように聞こえるんですけど、実はズタズタなんですよ。 いくつものテイクがくっついているし。

──トータスやその周辺のバンドは演奏自体がすでに編集っぽいですけど、DCPRGは ほんとうに編集を必要としているバンドって感じがします。

 音楽批評用語で、「どの音にフォーカスがあたって」とかいうじゃないですか。 僕らフォーカスなんかないんだもん(笑)。 要するに、どこにもフォーカスがあたってなくて、何を聴いたらいいのか分からない騒乱状態になっていて、しかも、意志でコントロール出来ない部分をあとでテープ編集して切っているっていうね。 だから、なるべくフォーカスがあたらないように、音像の中で自分が聴きたいところを聴けるような形にしたい。 いまのフォーカスが親切にあたってて、ルールが引かれてて、ここになったら、ちゃんと気持ちが盛り上がるように、 っていうような形で聴いているクラブ・ミュージックのリスナーからすると、退屈だったり、いったいどこがどうなっているのか分からなかったりして、 道に迷ったり、迷った挙げ句にもう投げちゃって聴くのやめちゃうこともあるかと思うんだけど、でも、僕はそういうサーカス的な状況を信じているんです。

カテゴリ : ニューフェイズ

掲載: 2002年06月20日 15:00

更新: 2003年10月29日 15:58

文/原 雅明