インタビュー

レジストレーターズ

既存のフォーマットを否定し、新たな挑戦をしてみせた新作『NO FANTASY』!!


サード・アルバム『VELOCITY』の発表から、およそ1年8か月ぶりのリリースとなるREGISTRATORSの新作『NO FANTASY』。アルバムではなく、あくまで〈全7曲の変則シングル〉というコンセプトのもとに制作された今作は、彼らの音楽的要素のひとつであったポップ・センスが一層の進化/深化を見せ、1曲1曲に、よりハイブリッドな〈REGISTRATORSらしさ〉が表れた作品となっている。コレがとにかく凄い! なにがって? まず一聴してわかるその〈音質〉の違い。

「どんなに音にこだわってるバンドでも、使ってる機材とかエンジニアがいっしょだったら、結局なにも変わんないでしょ?」(othuki、ヴォーカル/ギター:以下同)。

今作の制作にあたってまずは機材から全部買い揃え、録音からなにからすべてを自分たちの手で行うべく、〈自宅録音〉という手法を取った。そうして生み出されたのが、このまさに〈Mid-Hi〉という言葉がピッタリな、〈アナログ・サウンドの境地〉と言うべきシロモノである。

今作は限定1,000枚プレスの7インチ2枚組という形態でもリリースされるが、やはりメインはCDでの流通となる。そこで「アナログ(のサウンド)の質感を、どうやってCDにパッケージするか」をこだわるがゆえに、CD用と7インチ用とで、マスタリングも別々で行ったという。その結果、デジタル録音されたCDのサウンドの波形が、なんとアナログの波形と全く同じになったってんだから驚きだ!

「自分らの耳を頼りに進めた作業が、そうやって科学的にも証明されたんだから、やっぱコレは間違ってナイんだなって(笑)」。

〈なんでもアリ〉だけど、中身は〈なんにもナシ〉な自称パンク・バンドの多くが流行り廃れていくなかで、ここまで徹底したてきたスタンスで10年以上も活動を続けているバンドは数少ない。残念ではあるが、それがいまの現状でもあるのだ。

「世の中に溢れてるくっだらねぇ音楽に対して〈怒ってる〉ってのはあるよ。ただ俺らは音楽家だから、それを音楽でしか提示できないしさ。例えば食品会社が食べ物を偽装するのって間違ってるでしょ。だから、俺らは音楽を提供する側として、自分らの音楽は自分らでキチンと責任持ってやるのが普通だよね。それが、ここにしか有り得ない〈事実〉なんだし」。

安っぽい意味での〈パンク〉という冠は「要らないね」とキッパリ言い切ったothukiであるが、彼ら自身による〈事実〉をもって、真っ向勝負を挑むその姿勢は、やはりパンク・バンド以外の何者でもないと感じた次第である。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2002年07月11日 12:00

更新: 2003年02月12日 14:01

ソース: 『bounce』 233号(2002/6/25)

文/ヤマダナオヒロ