インタビュー

ヘルマン H.アンド ザ・ペースメーカーズ

強力なビート&グルーヴ、ユーモラスな曲展開を携えた新作『PINKIE'S ROCK SHOW』!


 素肌にベストにリーゼント。あるいは逆三角形スーツ(袖は折り返しが基本)にソフト帽。ド派手蛍光色のネオンをバックに、粋(!?)な衣装を身に纏った6人がステージに立つ。そう、彼らこそが平成シャパニーズ・ロック界のカブキモノ、Hermann H. & The Pacemakers。

「(右下の写真を見て)ありえないですね(笑)。〈ピンキーズ・ロック・ショウ〉というロック・ショウをやってる、ヘンテコな架空バンドを作りたかったんですよ。でまあ、ちょっと悪ふざけでやっちゃったぐらいだと良くないから、どうせだったらとことんいっちまいますか、ってことで」(平床政治、ギター)。

そんな彼らのハンパないテンションは、もちろん新作『PINKIE'S ROCK SHOW』にもガッチリと組み込まれている。あからさまにダンス的要素を持ち込まずとも、聴き手を踊らせてしまう強力なビート&グルーヴ、笑いあり涙ありのユーモラスな曲展開、遊び心満載の歌詞(タイトル曲では、当て字ならぬ当て英語も!)……どこを取ってもぬかりはない。

「ライヴをずーっとやってたんですけど、もうすごい楽しくて、盛り上がっててっていうエネルギーがバンドにも僕にもあって、そのなかで一気に作ったからか、今回はかなりオーソドックス。ギターとベースとドラムと鍵盤と歌で、バンドのオーケストレイションを追求した感じですね」(岡本洋平、ヴォーカル/ギター)。

「(アレンジには)ツボがあるんですよ。こういうことやればみんな喜ぶんじゃねえかっていう有り/無しラインを狙って、それぞれが突っ込んでくるから」(平床)。

そうして完成したのが今回のセカンド・アルバム『PINKIE'S ROCK SHOW』=小指のロック・ショウ。果たして、その意味は?

「ま、小指程度のもんだぞっていう。なんか、ちっちゃいことに踊らされてるヤツが多いんじゃねえかなっていう僕らの喧嘩腰がですね(笑)、そのまま詞になったんですけど。まあその小指程度のものっていうのは、外に向かってのことかもしれないし、僕らのことかもしれないですけどね」(平床)。

気骨と冷静な分析能力と。中身あってのカブキモノは、遥か昔から周囲の人間を惹き付けてやまないもの。彼らもまた、その例外ではないのだ。

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掲載: 2002年09月26日 16:00

更新: 2003年02月13日 11:01

ソース: 『bounce』 236号(2002/9/25)

文/土田 真弓