インタビュー

視覚的イメージを伴ったコンセプト・アルバムのあれこれ

 デス・イン・ヴェガスの最高傑作との呼び声も高い今回のアルバムは、64年のケネス・アンガーの映画からタイトルが引用されたといわれ、架空のサウンドトラックというスタイルをとっている。メンバーのリチャード・フィアレスがジャケットのアートワーク、プロモ・クリップなども手掛ける人物なだけに、彼らの作品は視覚的印象を強く残すものが多い。そんな彼らと同じベクトルを持った、ちょっぴりニューウェイヴなコンセプチュアル・アルバムを挙げてみよう。まず、DIVと親交の深いプライマル・スクリームが2000年に発表した『Vanishing Point』。同名映画にインスパイアされた本作は、映画で展開されたカー・チェイスよろしく、緊張感に溢れたスリリングな内容となっている。続いてプライマルとのコラボレーションでもお馴染みのデヴィッド・ホルムスは、毎回サントラ的体裁をとったアルバムを発表し、単なるテクノ・ミュージックの枠から逸脱したスタイルが非常にユニーク。また映画とは異なるが、フェイスレスのメンバーによるプロジェクト、ダステッドのアルバム『When We Were Young』も実に完成度の高いコンセプト作品。アルバムにストーリーを持たせ、ファンタジーの世界を彷彿とさせる幻想的サウンドスケープは圧巻。最後に本人たちが意図したかどうかは定かでないが、視覚的イメージを喚起し、コンセプチュアルな面を感じさせる作品として、ベントも挙げておこう。彼らの作品も目を閉じて聴いていると、なにやら映像が浮かんできそうな雰囲気である。

文中に登場するアーティストの作品を紹介


ダステッドの2001年作『When We Were Young』(Go! Beat)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2002年11月07日 12:00

更新: 2003年02月12日 16:37

ソース: 『bounce』 237号(2002/10/25)

文/青木正之

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