インタビュー

Polaris

力強い歌モノ・バンドとしての真髄を露にするファースト・フル・アルバム『Home』到着!


ギターとベースとドラムスと歌──もちろんそれ以外の音響的なトリートメントは施されているが──67分に及ぶPolarisのファースト・フル・アルバム『Home』を構成する大部分は、たったそれだけの要素。で、そのことに気付いた瞬間(聴き始めて35分後)の驚きたるや!……てそんなことよく考えれば当たり前なんだが、案外それが〈歌モノ・バンド〉としてのPolarisの真髄に触れた瞬間なのかもしれないなぁと。

「〈歌モノ〉って進んだ人たちの間ではダサイものみたいなイメージあんじゃないですか? 〈歌モノ〉ってよりは〈音響派〉って書いてあったほうがイイみたいなさ(笑)。でもPolarisってもともとそういうコンセプトで結成されてるんで」(柏原譲、ベース)。

ZAKをミキサーに迎えていた前2作のミニ・アルバムのダブ的な音響の美しさは言わずもがなだけど、やはりPolarisの本質はオーソドックスなバンド・サウンドから生み出される歌の強さ。事実、柏原が「今年の夏ぐらいから新たなフェイズに入っている」と言うとおり、フジロックをはじめとして彼らの最近のライヴは見違えるほどの成長を見せており、それはオオヤユウスケの神通力すら感じさせるヴォーカリゼーションに顕著だ。

「Polarisって音数少ないんで、3人の楽器の音が鳴っている以外のスペースっていうのが歌にすごく残されてるんですよね。で、前はそのスペースが広すぎてなんとなく不安だったんです。知らないとこに急にポンッて出されると不安になるじゃないですか? でも〈よし、俺はここを歩くぞ〉っていうのを一回決めれば案外そこは自分の場所になるんだなっていうのを最近思うんですけどね」(オオヤユウスケ、ヴォーカル/ギター)。

 本作でもうひとつ特筆すべきは柏原譲みずからが手がけた数曲のミックス。ただ単に演奏して終わりではなく、それをどのように伝えるのか?というテーマを含め、彼らは最後までミュージシャンとしての矜持を凛として保ち続ける。

「本来当たり前のことというか、Polarisを始めたときからそれを見つめ直す作業だったりもしてて。1曲1曲作る意味、とか。もっと曲も演奏もそうだけど、ひとつひとつを大事に強くやっていきたいっていうがありますね」(オオヤ)。

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掲載: 2002年11月07日 17:00

更新: 2003年02月13日 12:15

ソース: 『bounce』 237号(2002/10/25)

文/内田 暁男