Sigur Ros(2)
シガー・ロスというスピリット
こうして、ついに発表される『( )』。前作以上にシンフォニック、それでいて、すべてがスタジオ・ライヴ・レコーディングされたからだろうか、そこには、よりダイレクトな精神の高揚がある。ヨンシーの透き通るようなファルセット・ヴォイス。ギター・ノイズとストリングスの交歓。ここに収められた圧倒的なカタルシスを無視することなど、到底できないだろう。
「でも、歌っている時って、空のチューブみたいな気持ちなんだ。その中に音楽を通しているような感じだね。なんの感情も湧き上がらない。自分が音楽そのもの、感情を濾過するフィルターになってしまうんだ」(ヨンシー)。
神はシガー・ロスを選びたもうた、ということだろうか。もはや感情を超えた感動がそこにある。ある種の宗教的体験と言えるのかも知れないが、アイスランドのアーティストは、自然や古代との結びつきを音楽に宿らせることに長けているように感じる。ビョークしかり、ムームしかり、シガー・ロスしかり。さて、最後の質問。彼らはアイスランドの夏と冬、どちらにより多くインスパイアされるのだろう?
「たぶん冬かな。あと、どんな山にもインスパイアされる(笑)」(ゲオルグ)。
「いちばん大切なのは僕たち自身のスピリットだよ。シガー・ロスの音楽は自分たちで自分たちのスピリットをインスパイアすることで湧き上がる。そうして、アイスランド人であることのメンタリティーが音楽に色を添えるんだ。アイスランドはいろんな点で他の国とは違うからね」(ヨンシー)。
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カテゴリ : インタビューファイル
掲載: 2002年11月21日 15:00
更新: 2003年02月07日 15:30
ソース: 『bounce』 237号(2002/10/25)
文/福田 教雄