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インタビュー

Amerie

ヒップホップ・ソウルをリロードする新星、エイメリーの登場よ!


「『All I Have』、つまり〈自分の持ちうる限りの力〉というフレーズが、今作を表わすのにピッタリだと思ったのよ。制作に2年間という歳月を費やして、すべてを出しつくしたんですもの。他にふさわしい言葉はないわ」。

 あまりに魅惑的で、ちょっと出来過ぎにさえ思えるデビュー・アルバム『All I Have』について、22歳のエイメリーは感慨深げに語る。知的な物腰は〈名門ジョージタウン大卒の才媛〉という触れ込みを納得させるものだ。エキゾチックなまなざしもまた、印象的である――。アルバムは、この麗しいR&B界の新星を見い出したプロデューサー、リッチ・ハンソンとともに制作された。

「制作を通して、いろんな意味で大きく成長できたと思う。単に制作というよりは、自分の心と深く向き合って、自分をよく知ろうとするプロセスでもあったから。まず曲をじっくり聴いて、その曲が持つメッセージを感じるの。そして歌詞が加えられたら、そこに感情移入して、詞の世界と自分の深い部分を繋げていくのよ。今回学んだことは音楽面だけじゃなく、他のことにも役立てていきたいわね」。

  揺るぎないタフネスと繊細な情感に満ちた、艶やかな声。豊潤なメロディーとしなやかな躍動感にあふれた、極上のヒップホップ・ソウル。そして官能と知性が交差する至福のグルーヴがそこにある。安易に〈ポスト○○○〉とは言ってしまえない、圧倒的な存在感だ。

「アルバムでは〈ジャズの影響も受けた、ヒップホップとR&Bの完璧なブレンド〉という音を示せたと思う。硬軟を併せ持ったタイプの曲が入っているわ。例えばヘヴィーなヒップホップのビートに豊かなメロディー、みたいにバランスを保ったりしてね。どの範疇にもあてはまらない個性的なサウンドに対して、最近のシーンやリスナーはとてもオープンだから、きっと何か感じてくれるんじゃないかしら」。

 有象無象のアーティストで賑わう百花繚乱のR&B界。遅れてきた大物とは、まさに。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2002年11月28日 11:00

更新: 2003年02月07日 15:19

ソース: 『bounce』 238号(2002/11/25)

文/梅岡 彩友美