herb
時代を貫通するメロディーメイカー、herbのファースト・フル・アルバムが到着!!
メロディックなサウンドを基盤にダブ、テクノといった音楽へのアプローチも見せる――っていうと、いまのシーンではわりと普通な感じもしますが、それが普通の音に終わっていない天才気質の2人組。何を混ぜてもビートルズ・ライクで聴きやすい音に着地させてるあたりが素晴らしいわけなんですが……1年以上も何してたんだよ! 2000年7月から4か月連続でシングルをリリース。翌年2月に内田直之(DRY&HEAVY)を迎えダブ・アルバムを発表。それから本作完成まで音沙汰なし。ホント何してたんですか?
「作業にMacを導入したのが原因ですね。これまではスタジオを借りて限られた時間でレコーディングなりミキシングなりしてたんだけど、Mac導入により無制限に作業ができるようになって、それで無制限にやっちゃったと(笑)。Macで作業してるとなかなか限界が見えなくて、どんどん音を変えたくなるんですよ」(中野学而:以下同)。
そして完成したのがこのたびのアルバム『refugees won't speak』。作業革命が原因か、ポップ感、実験性、繊細さ……そのあたりからさらに進化した彼らが確かに匂う。そこで気になるのがゲストの存在。DRY&HEAVYの七尾茂とPata、東京スカパラダイスオーケストラの茂木欣一、松崎ナオといった豪華な顔ぶれが参加してるが、 彼らは音にどんな影響を与えたのか……。
「具体的にいうとドラムにはすごく顕著に現れました。茂木さんなら茂木さんの味が。聴いていてすごく楽しかった。あとやっぱり刺激が大きいですよね。自分のなかで完結してる曲が、ゲストから返された時には新しいものになってる。埋もれてるサウンドを発見する驚きがありました」。
なるほど。人、音、機材からの刺激を次々に受けていると、1年なんてすぐに経ちます。いいものが出来上がったし納得しましょう。で、もっとも気になる部分。彼らはこの音源で何を伝えたかったのか。
「僕自身音楽を作りながら自分を探してるという状態だし、そんなに大それたメッセージはないんですが……でも歌うことの素晴らしさは伝えたい。実はこのアルバム・タイトルもそういう意味が隠されてて。〈話さなくても歌うんだ〉っていうことをわかってもらえればなと」。
カテゴリ : インタビューファイル
掲載: 2002年11月28日 11:00
更新: 2007年06月22日 17:58
ソース: 『bounce』 238号(2002/11/25)
文/山葉 のぶゆき