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インタビュー

RIZE

作品のリリースがなかったこの1年間、並みならぬ本数のライヴを重ねてきたRIZE。スキル・アップの証は、新作『Natural Vibes』に封じ込められた!


昨年暮れにセカンド・アルバム『FOREPLAY』をリリースした直後から、RIZEは猛烈な勢いでライヴを行ってきた。そのヴォリュームは、昨年春に行なわれた(4人になって初めての)全国ツアーの3倍以上となり、夏の野外フェスティヴァルやそのほかのイヴェントなども含めると、今年は日々、日本のどこかの空の下でRIZEの音が鳴っていたような状況だ。

「長距離走みたいな感じでしたね。毎日毎日やってると体がどんどん覚えてきちゃって、ペース配分もできるようになったし、お互いに説明がいらなくなってバンドがすごくいい状態になってた。その流れでレコーディングまでやったって感じでした」(金子統昭、ドラムス)。

というわけで出来上がったのが、待望のニュー・アルバム『Natural Vibes』。ライヴの熱を体に残したままLAに渡った4人が作り上げた、心意気の真っ直ぐな音が詰まった作品だ。

「ぶっちゃけ、曲はぜんぜん出来てなかったんですよ。でも、ツアー終わったあとですげえ脂のってたから、体の動きもすげえ良くて。とにかくみんな瞬発力あったし、こうしようああしようって、もう本能で、ナチュラルな状態でやってったらアルバムが出来上がってた」(Jesse、ヴォーカル/ギター)。

まさにタイトルどおり。ズバ抜けた演奏力はますます強靱なグルーヴ感を伴い、深みを増し、引き締まった印象。そこから発せられる波動は、とても21~22歳のミュージシャンが発するものとは思えないほど、ナニモノにもなびかず揺るがない大きさを強く感じさせる。前作の〈これでどうだ!〉的な気合いとは別のベクトルを持った作品とも言えそうだ。

「そうだね。前作は、ひとりひとりがどういうプレイヤーかっていう部分を出した、名刺代わりのようなアルバムだったと思うんだ。でも今回はそれを踏まえて、4人でひとつの〈バンド〉としてのサウンドが出せたんじゃないかなと思う」(Jesse)。

「とにかく去年(前作)は、自分の弾いた音がCDになるってだけでもうスゲエなって感じだったんだけど、今回は録りに集中できたから無駄もなくなったと思うし」(U-ZO、ベース)。

「前はJesseもあっくん(金子)もペースを合わせてくれてる部分があったと思うけど、今回はひとりひとりが自分の位置を再認識して、自分のやるべきことを客観的に見ながらやれたんじゃないかなって感じますね」(中尾宣弘、ギター)。

音と言葉が散弾銃のようにブッ放されるヘヴィーでハードコアなナンバーと、歌を全面に押し出したメロディアスなミディアム・チューン――両極の鮮やかな対比で楽しませてくれる今作は、さらに、友人でもある新鋭2MCグループ、Def Techをフィーチャーしたメロウなヒップホップ“VIBRATION”という名曲も加わり、彼らの新たな一面を見せてくれる。

「実はLAに行く前に、Def TechのMicroと2人でNYとジャマイカとサンフランシスコに行って。最初は、服を買いたいとかレコード屋に行きたいとか思ってたんだけど、〈グラウンド・ゼロ〉で家族を亡くして泣いてる人たちの姿を見たり、俺の大好きなボブ・マーリーのミュージアムに行ってリスペクトってものがぜんぜんないジャマイカの現状を聞いたりしながら、俺の中ですげえ人生観が変わったんですよ。“VIBRATION”に限らず、今回は〈メッセンジャー〉としてスゲエいい旅ができたから、それがナチュラルに音になって、言葉もより伝わりやすいものになった。俺なりの解釈がいろんなところに飛び散って、オリジナルなものが生まれてると思う」(Jesse)。

アルバムのレコーディングは終わったが、「終わりは始まりの始まり」(Jesse)。4人は早くも次なるステージに向かって走り始めている。

「今年は韓国でもライヴやったんだけど、生きてる限り、電源あるとこ全部でライヴやりたいってスゲエ思った。まだまだ俺らは止まんない」(Jesse)。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2002年12月05日 12:00

更新: 2003年02月07日 15:07

ソース: 『bounce』 238号(2002/11/25)

文/山田 邦子

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