インタビュー

コモンのサーカス団員たち

ルーツのクエストラヴやジェイ・ディーを中心とするソウルクエリアンズが全霊を傾けた『Electric Circus』だが、その核が従来の彼ららしいジャジーな整合性ではなく、ドロリとした〈異形〉のグルーヴであることにまず驚く(逆に、メアリーJ・ブライジが参加したネプチューンズ制作のシングル曲“Come Close To Me”が妙に従来のクエリアンズっぽいのも興味深い)。その結果として、一気に幅を広げたゲスト陣も今作の重要なポイントだ。“Aquarius”で悩ましく悶えるビラルや“I Am Music”でさえずるジル・スコットこそ比較的結びつきやすい顔ぶれだが、サーカスの幕開けを告げるザップ・ママのマリー・ドルヌ&ヴィニア・モヒカや、“Electric Wire Hustle Flower”で清々しく絶叫する殉教メタル王ことサニー(P.O.D.)、“New Wave”で囁きかけるステレオラブのレティシア・サディエールの登場にはびっくり。もちろん、今作の音像にはド真ん中な人選だ。シー・ローやエリカ・バドゥのシャーマニックな歌唱も作品に神々しいサイケデリアを与えているし、アルバムの最後にはオマー(!)、シー・ロー、エリカ、メアリー、ジルらが参加したトンデモない合唱も控えている。さらに、“Star *69”には何とプリンスがプロデュース&ギター演奏で参加! で、これらの〈異形〉たちを一堂に会させた小屋=エレクトリック・レディーランドの住人であったジミ・ヘンドリックスはもちろん、フェラ・クティやらスライやらの亡霊がゆらゆらバンドワゴンの後ろをついてきてるような所にも、このサーカスの凄さがあるのだ。

本作に参加したアーティスト達の作品を紹介

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2003年01月16日 15:00

更新: 2003年01月22日 13:25

ソース: 『bounce』 239号(2002/12/25)

文/出嶌 孝次

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