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インタビュー

Thee Michelle Gun Elephant(3)

〈やってやるよ!〉くらいの感じでないと……

 そういや、ミッシェルのメンバーは、みんな30代も半ばに差し掛かってるんだっけ……『SABRINA HEAVEN』と『SABRINA NO HEAVEN』に至って、確実にミッシェルは成熟してきた、という思いが強くなる。しかも枯れずに、だ。ミッシェルの成熟は、ある種のジャズ・ミュージシャンを思い起こさせる。ジャズの世界では、セクシーさ、テクニック、パッション、フレッシュネス……それらをひっくるめたピークが30代以降に訪れるのはぜんぜん希有ではない。死ぬ直前までオトナゲないほど輝き続けたマイルス・デイヴィスを例に挙げるまでもなく。

「枯れずに?……ギラギラしたまま?……枯れるかなあ???……まあ、やりたいことがあるからね。足りないとは思わないけど、やりたいことができたり見えてきたりとかしたら、すごいこう……活性化するっていうかさ。こんな感じのことやりたいなって家でギター弾いてたりしてなんとなくできたりとかして、やれる状況っつうか……それがあれば、枯れないんじゃない? そうじゃなくなると枯れると思うのよ、きっと。ルーティン・ワーク、じゃないけど」。

 枯れない。すなわち〈現場〉でリアルな音を鳴らし続ける。言うは易し。だからだろうか、いつからかミッシェルは(『GEAR BLUES』あたりをピークに、ロック・メディアによって)ほかにやりどころのない期待感のスケープゴートにされた風で。いわく〈~を成し得たのはミッシェルだけだ〉云々。その論説が仮に正しいとしても、ロックンロールの未来という、その音楽表現の質とは無関係な荷物を背負わせるのはいかがなもんか?と。個人的に、一時のミッシェルに悲愴感を見い出してしまったり、正直。

「でもぜんぜん、構わないよ。背負ったっていいもん! ぜんぜん……チョロいよ(ニヤリ)。そういうのがイヤだなとかって思ったら、たぶんもうダメだもん、きっと。関係ないもん。最初っから背負ってるよ!って思ってるくらいのほうが――そういうこといちいち考えないけど――それくらいの、〈やってやるよ!〉くらいの感じでないと……そうしないと枯れるんじゃない?(笑)。ま……続くだろうなっていう気はしてるけどね……まあ、わかんないけど、どうなるかは。またROSSOもやりたいしね。いろんなことを、ガツンガツンやりたいね」。

 OK。杞憂だった。ま、そりゃそうか。そういや世界的な音楽検索サイト〈All Music Guide〉のミッシェル・ガン・エレファントの項には、〈TONES:Energetic, Aggressive, Angst-Ridden〉と記されていたっけ……プシュ!(最後のビールを開栓)。

▼文中に登場する作品を紹介。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2003年06月26日 17:00

更新: 2009年07月23日 23:34

ソース: 『bounce』 244号(2003/6/25)

文/フミ・ヤマウチ