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インタビュー

人生いろいろ、リーダーもいろいろ……!!

 DCPRGのライヴは、コンダクターである菊地成孔が各メンバーを〈コンダクト〉することで全体をリードしていく。そのときの菊地のアクションはDCPRGのライヴにロック的な快楽さえ与えており、一言で言えば最高にカッコいいものだ。そこから思い出されるのは、例えば同じようにバンドをコンダクトしてライヴを行うフェラ・クティだったりする。菊地はフェラのように歌いはしないし、ライヴ中でもおかまいなしにメンバーを叱咤するフェラとはあきらかに違う。だが、フェラと同じように、コンダクトの傍らでキーボードを奏でる。ときにはその姿がDCPRGのサウンド以上にアフロビート的だと思うことすらあるほどだ。そういえば、今回の取材時に「菊地さんもあんなふうにバンドを仕切ったらいいじゃん」と他メンバーからジョークのネタにされていたのはジェイムズ・ブラウンだった。メンバーが演奏を間違えるたびに罰金を払わせていたほどの厳しいリーダーであるJBだが、彼はバンド・リーダーのひとつの極端な例であり、同時に理想的な存在だといえるだろう。ちなみに、菊地はいまのところメンバーに罰金を払わせるようなことはしていないらしい。また、JBと並ぶストイックなリーダーとして思い出されるのは、DCPRGを語るときに必ずといっていいほど例に挙げられてきたマイルス・デイヴィスだ。脅迫的なアイ・コンタクトを強いるその姿はいささか独裁的ではあるものの、だからこそあれほどの緊迫感というものをサウンドに与え続けることができたともいえる。だが、最終的にはリーダーとは孤独なもの。アクセル・ローズがストイックに(というかエゴイスティックに)振るまい続けた結果、ガンズ&ローゼスのオリジナル・メンバーは彼だけになってしまった。きっと菊地は現在のアクセルのようにはならないだろうが、かつてのアクセルと同じように優れたリーダーである彼の存在があるからこそDCPRGは光り輝いているのである。

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カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2003年10月02日 21:00

ソース: 『bounce』 247号(2003/9/25)

文/大石 始