ゼロ7的サウンドが時代の気分!
〈マグロの刺身にマヨネーズを付けたら意外と旨かった〉的な、出はじめた時は衝撃的だったがいまではすでにシーンとして成立するほど絶大な支持を得ている、ゼロ7的なサウンド・アプローチを見せるアーティストたち。これはレディオヘッド、シカゴ音響系一派などがロック・リスナーの〈電子音を受け入れる耳〉を育て上げ、さらにクラブ系アーティスト/リスナーの歩み寄りによる理想的なクロスオーヴァーが起こった結果であると考えられる。共にナイジェル・ゴッドリッチのプロデュースによるゼロ7、エールの新作で円熟を迎えそうなこのシーン。いまがまさに旬なサウンドをタップリ味わおう!(冨田)
AIR 『Talkie Walkie』 Virgin/東芝EMI(2004) 花の都の超美男ユニットの最新作はゼロ7同様、レディオヘッドのプロデューサーとしてもお馴染み、ナイジェル・ゴッドリッチとの共同プロデュース。幻想的で耽美な世界観ながらもクールさを漂わせる技はさすがの一言!(冨田)
B.E.D. 『Ver.1.0』 BMGファンハウス(2003) それこそゼロ7やアヴァランチーズに触発されたであろう屋敷豪太の最新プロジェクト。緩やかなブレイクビーツのさざ波と、神秘的な女性ヴォーカル、そして夜闇と戯れるようなダブ処理の高密度な融和は彼ならでは。(轟)
MELLOW 『Perfect Colors』 Atmospheriques/ビクター(2004) プログレッシヴ・ロックからの影響を公言してきた彼らだが、今作の感動的な音の広がりといったら! 60's的なマテリアルを散りばめつつも、最高にモダンなエレクトロニック・サウンドへと見事に昇華。(冨田)
THE LITHIUM PROJECT 『Many Worlds Theory』 Hydrogen Dukebox/Pヴァイン(2003) レーベルを移籍しての待望の新作。いわゆるニュー・ジャズの範疇にある作品だが、抑制の効いたソウル表現の在処はゼロ7のご近所。甘い耳鳴りのようなダウンテンポにうっとり。(轟)
WEATHERTUNES 『The Birds & The Sky』 Recepter Tune(2004) レモングラスなどの多名義で活動するウォス兄弟のユニット。夢心地のメロディーをそっと包む無邪気な無菌エレクトロニカは、薄荷キャンディーのようなノスタルジックな味わいで、ここに並ぶ作品に通じるもの。(轟)
VARIOUS ARTISTS 『Anotherlatenight : Zero 7』 Azuli(2002) オマケ。人気チルものコンピ・シリーズのゼロ7選集。カジモトやゲンスブール、ダ・ラータらの無節操な名前がチルな空気感という脈絡を得てしっくり並ぶ。この〈気分〉はどのジャンルにも見つけられるってこと!(轟)
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掲載: 2004年03月04日 16:00
更新: 2004年03月04日 16:10
ソース: 『bounce』 251号(2004/2/25)
文/轟 ひろみ、冨田 明宏