インタビュー

Bloodthirsty Butchers

〈ピュア〉な佇まいが漲る、新生ブッチャーズ待望のオリジナル・アルバム『birdy』!


〈僕はどんどん年をとっていく訳で/作るものはどんどんと色褪せる〉――bloodthirsty butchersの通算7枚目、田渕ひさ子(元ナンバーガール)を正式メンバーに迎えてからは初となるオリジナル・アルバム『birdy』の1曲目“JACK NICOLSON”は、そんな歌詞で始まる。たしかに、デビューしたての連中に敵わないところもいろいろとあるかも知れない。だからって、こんな歌い出しは……なんてことを懸念する間もなく、感動的な歌詞が続く。〈君がその先大人になっても/悪い大人の手本でいたいんだ〉――素敵だ。結成から15年あまり。一般的に大ブレイクしたバンドではないけれど、それでも後発ギター・バンドの多くが憧れを抱き、不景気ながらもメジャーのレコード会社が契約を交わしたくなるのは、ニュー・アルバムの全体像を象徴する“JACK NICOLSON”、その歌詞からも窺えるような生き様が魅力的だからではないだろうか。

「今回は、あたりまえの自分を歌いたかったというか……あまり遠回しに説明したりするのはやめて、ストレートに。みんなで笑って言ってるんだけど、〈ピュア〉(笑)。まあ、ちょっと笑えるようなものにはしたかったんですよね、コメディー・タッチというか。でも、そう思って作っても、重たい曲もあって。マヌケでもないし、ド真剣でもないし……それで〈ジャック・ニコルソン〉っていう名前も出てきた」(吉村秀樹、ヴォーカル/ギター)。

 シリアスも、コメディーも、おっかない役も穏やかな役も演じきる名優、ジャック・ニコルソン。その〈アンチ・ヒーロー〉的な立ち位置は、まさに現在のブッチャーズと通じるところでもあります。そして、どう転がろうがニコルソンはニコルソン、ブッチャーズはブッチャーズである、というところも。

「いまはもう、目の前のことをひとつずつやっていくっていう。〈消化〉ではなく、かといって一所懸命でもなく、ひとつひとつをちゃんと。4人になったことで、自分の立ち位置がよりわかった部分もあるし、なにより自分たちのバンドはbloodthirsty butchersだ!っていうのが変わらずしてあるし……変わらずして(ブッチャーズに)なった人もいるから(笑)」(吉村)。

「(笑)。……勝手に感じたことなんですけど、ブッチャーズっていうバンドは、〈私が田渕ひさ子です!〉みたいに、一人一人が主張する感じっていうよりは、みんなで〈私がブッチャーズです!〉って言ってるような感じですね」(田渕ひさ子、ギター)。

「3人でやってるときよりも、〈バンド〉を意識せずに、あたりまえの作業ができた。完成までの過程がスムースというか……もちろんぶつかった部分もあったんですけど、なんかこう、自然にバンドのレスポンスを出せた感じかな」(射守矢雄、ベース)。

「3人であーでもないこーでもないって掴み合ってるところにひさ子ちゃんが加わって、それでまたウワァーってもつれてるうちにゴロンと転んで坂道を4人で転がってる画が、いまの話を聞いてて浮かんじゃって(笑)」(小松正宏、ドラムス)。

(笑)……であれば、このアルバムは見事な一打! ナイス『birdy』!

▼bloodthirsty butchersのアルバムを紹介。

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掲載: 2004年03月04日 17:00

ソース: 『bounce』 251号(2004/2/25)

文/久保田 泰平