インタビュー

SAIDRUM

Revirth生え抜きのトラックメイカー/クリエイターが待望のファースト・アルバムをリリース!!


「12インチ・ベースで作っていた時期からアルバムを作ろうという段階になって、きちんとしたコンセプトを持って制作をしてみたかったんです。それで、違った聴き方で音楽を楽しむにはどういうことができるかなと考えて。自分は楽器も弾けないし、歌えないので、そういうところに辿り着いた」と話すSAIDRUM。彼は99年に12インチ・シングル“MATADOR”を発表して以降、NUMBらを擁するレーベル、Revirthの顔として着実に存在感を発揮してきた。〈待ちに待った〉というファンも多かろう待望のファースト・アルバム『deadpan rhythm』は上記の発言からもわかるとおり、アルバムというフォーマットを最大限に活かしたサウンド作りがなされている。

「イメージしたのは虫だったり花だったり木だったりとか、オーガニックなものですね。都会育ちなぶん、オーガニックなものが持っている色だったり表情に憧れるようなところがあって。そういうところが音からイメージできたらいいなと思ってはいるんですけどね。例えば葉っぱが揺らいだりとか、木が水を吸い上げる作業であったりとか」。

 ビートが複雑に絡み合い、そこに的確なダブ・エフェクトが加えられることによって壮大な世界が創出されているこの『deadpan rhythm』。とはいえ、音の断片がシャープに研ぎすまされていることから、グイグイと作品のなかに引きずりこまれてしまうような不思議さ、そしてキャッチーささえ併せ持っているところもまた今作の魅力だ。もちろん、ミックスを手掛けたNUMBの手腕も一役買っているようだが、彼は今作を聴いてなんと言ったかというと……。

「いやぁ……狂ってるねって(笑)。でも、NUMBさんのミックスもけっこう狂ってて(笑)、おまえに言われたくないよ的なところもあったんですけど(笑)」。

 とは言うものの、「(NUMBから)テクニック的な部分は全部教えてもらってきたので、そこからどうやって自分の音を出していくか、というのもアルバムを出していくなかで考えていたところでもあって」とSAIDRUMは話す。なお今作には、イラク戦争に反対するテーマを持ったコンピ『60soundartists』に提供したパーツを発展させて出来上がった“roughneckdaddy”が収録されている。そこから〈あらゆることに意識的で真摯なクリエイター〉なんて彼を評することもできるかもしれないが、それよりもまずはこの音。あらゆるイメージが次々と浮かび上がってくるこの音を浴びて、そこからなにかを感じとるのがベストかと。ちょっとした問題作の登場です。

▼SAIDRUMの参加作品を紹介。

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掲載: 2004年03月18日 12:00

更新: 2004年03月18日 19:14

ソース: 『bounce』 251号(2004/2/25)

文/大石 始