インタビュー

JOSH TODD


〈ポスト・ガンズ&ローゼス〉と称され、バンドを解散したいまもなお熱狂的ファンの多いバックチェリー。そのフロントマンであった〈イレズミ美獣〉ことジョシュ・トッドが、新たなメンバーと共に〈ジョシュ・トッド〉というニュー・バンドで見事シーンの最前線に返り咲いた! なにはともあれ、おかえりなさい!!

「おう、ただいま(笑)。最高のバンドで再スタートが切れて非常に満足してる。ソロって選択肢もあったけど、俺はやっぱりバンドってのが好きだからさ。今回のメンバーは、たまたま引っくり返した石の下に埋もれてたダンゴ虫みたいな連中だったんだけど、いざフタを開けてみたら、これが最高のバンドだったってわけよ、いやマジで」(ジョシュ・トッド:以下同)。

 そんな最高のバンドが作り上げたデビュー・アルバム『You Made Me』は、いかにもジョシュらしいロックンロールから、へヴィー・ロックにパワー・ポップとさまざまな要素が採り入れられた、復活の狼煙を上げるにふさわしいアグレッシヴなアルバムとなっている。

「そりゃそうさ、俺様はアグレッシヴな男だからな(笑)。とにかく今回は新鮮な感覚を持ったプレイヤーと組みたかった。うんとモダンで新鮮で、それでいてバックチェリーのファンも納得しそうな連中をな」。

 と、バンド形態であることを強調しているが、今作において強烈な個性を放っているのは、やはりジョシュの〈あの声〉なのである。スティーヴン・タイラー(エアロスミス)やボン・スコット(AC/DC)にイアン・マッケイ(マイナー・スレット)、さらにはプリンスにマイケル・ジャクソンと、個性的なシンガーたちからのさまざまな影響をガブ呑みしてガラガラにしたかのような声は、いかなるシーンもシャウト一発で射抜いてしまう潔いまでにまっすぐで繊細な、そしてなにより〈華〉という唯一無二の魅力がある。

「最近のロック・シーンはいいバンドが増えてきてるって感じはするな。マルーン5やジェットはいい音を出してると思う。同時に状況は俺たちに追い風だって気がする。いま、シーンはかなり混乱してるみたいだけど、むしろそういうときってのは必ずチャンスが転がってるものさ」。

 混沌とした時代を逞しく生き抜く自信。それはジョシュの、何者にでも変われて、何物にも代えられない揺るぎない〈意志〉に他ならない。

「俺ってさ、〈自分の気持ちに正直に生きてれば、すべてがいいほうに転がっていく〉ってのが信条で、確かにバックチェリーが終わる前後は凄えヘヴィーな気持ちだったけど、そんときもただ自分の心に素直に従ってきたし。んで、いまに至るってわけ。改めて振り返ってみると、我ながら感心するくらいなにもかも上手い具合に進んできてるよ、ホント」。

 そう、ロックンロール・スターはいちいちヘコたれてはいられないのだ。そんなジョシュの求める〈ロックンロール〉とは?

「周囲の人たちに対する誠意と、ラウドなパフォーマンス。最近はライヴを観てガッカリってのばっかだけどさ、俺はレコードも作れればライヴで観ても最高ってのがいちばんだと思う。スティーヴン・タイラーがいい例だよ。ロックンロールってのはライヴが最高でなきゃ! これに尽きるね」。

 やっぱライヴ! バックチェリー時代から常にアクティヴでエネルギッシュなステージ・パフォーマンスを観せてきたが、新バンドでの来日公演も期待できそうですぜ!

「もちろん! 加えてこのバンドはハンパなくタイトときてる。バックチェリーのときとはちょっと違う、でも凄くいいショウだよ。日本にこれを持っていくのが楽しみでしょうがないんだ。また日本に行ってロックするのが待ち切れないぜ!!」。

PROFILE

ジョシュ・トッド
LA出身のハード・ロック・バンド、バックチェリーの元ヴォーカリスト。バンド時代には99年のデビュー作『Buckcherry』、2001年の『Time Bomb』と2枚のアルバムをリリースし、トータルで100万枚以上のセールスを記録。グラミーにノミネートされるなど人気を博すが、ほどなく活動休止状態となり2002年には解散を発表している。その後、音楽活動を再開するべく行われたオーディションで、ジェシー・ローガン(ギター)、マイク・ヘウィット(ギター)、マーク・ジョン(ベース)、ケント・ロス(ドラムス)が選出され新たなバンドが結成される。2002年の秋にレコーディングがスタート、このたびデビュー・アルバム『You Made Me』(X.S./ビクター)がリリースされたばかり。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2004年03月25日 18:00

ソース: 『bounce』 252号(2004/3/25)

文/加賀 龍一