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インタビュー

ZAZEN BOYS

早くも第2章『ZAZEN BOYS II』が完成――〈フジロック〉出演翌日、リーダーの向井秀徳が語る


「昨日今日の話ですけれども〈フジロック〉でやりましてですね、まず自分が描いていた(バンドの)カタチにある程度なった、という気がします。ゼロから始まっていますんで。すごい勢いで変化、進化、していったなと思いますね」。

 2004年8月2日、快晴。麦わら帽を手に和柄のアロハシャツを着た向井秀徳は、YEBISUビールを手に昨晩のライヴを振り返る。結成から1年強、ZAZEN BOYSは昨年夏の〈RISING SUN〉を皮切りに、ファースト・アルバム『ZAZEN BOYS』のリリースを挿んで全国ツアーを行った。「ツアーをやっていってバンドを固めていく」という意図と「その固まっていく過程のなかでも次をめざしていこう」という目標のなかで作られた新曲たち。そして届けられた『ZAZEN BOYS II』。

「歌詞部分に関してはより、ダイレクトな物言いになっていますね。狂騒の日々というかですね、そのなかで〈俺は何を見ているのか〉という部分になってきていますね」。

 冒頭60秒で彼らの突き抜け具合は伝わってくる。前作収録の“自問自答”でライム新境地を切り拓いた向井の韻踏みイントロダクション、ギター・リフに連なる椎名林檎のコーラス参加が艶かしい“CRAZY DAYS CRAZY FEELING”。リフはより鋭くなり、「ファーサイドが好きみたい」という日向秀和のベースと、アヒトイナザワのドラムスの絡みは、よりガッツリとくる。とどのつまり……。

「ダンサブル。これはおもしろいですね。このバンドにおいては、ダンスがしたいという衝動がありますね。(ただ)いわゆるフロア仕様のリズムを作るとか、そういう方向にはいかなかったですね。なんかもっと、沸き立つような盆踊り的な、そういう馬鹿騒ぎ的なものですよね。囃し立てられるような。まあ、ロック・リフの後にめまぐるしい訳のわからんリズムを入れたりしていましたんで、お客さんは非常にアグレッシヴな動きになりましたね。観客の人たちは本当におもしろいモノで、隅っこのほうでタコ踊りをしているヤツもいれば、必死にハイハットを追いかけて延々と首を振り続けるヤツもいるし。画一的じゃない。それが自由で理想的な環境というか、ライヴ空間の在り方だなぁと。昨日の〈フジロック〉でもおもしろい動きしとるヤツいるかなあと思って見ていましたけれども。非常に多種多様で」。

 7拍子と4拍子が交錯する“安眠棒”、ラストを飾るブルージー・ナンバー“MY CRAZY FEELING”など全15曲。リズムが強く、言葉が強い。その裏側には、最近では「般若やJPC bandがおもしろかった」と語る、向井秀徳のZAZENの世界=和の世界が漂っている。

「和の部分というのは、祭りの高揚感というかビート感というのがありまして。わたくしがブラジル人だったら、サンバ・ビートでも良かったかもしれない……例えば渋谷のど真ん中に小さな商店街があって、毎年夏の終わりになると町内会で小さな神輿を担いで祭りをやったりしているんですね。そういった大都会のビル群のなかでも独自の社会があるし、(祭りが)根付いているというのを実感するわけです。いくら都市が発展してまさにシティーになっていっても、そういう昔から永遠と繋がっていくものがあるんだな、と」。

 新作を携え、彼らはふたたび全国を行脚する。夏は終われど、ZAZEN BOYSの祭りは続く。作中の言葉を借りれば、それこそまさに〈くりかえされる諸行無常、よみがえる性的衝動!〉。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2004年08月26日 16:00

更新: 2004年09月09日 17:40

ソース: 『bounce』 257号(2004/8/25)

文/原田 リョウ