こんにちは、ゲスト

ショッピングカート

インタビュー

puli


 昨年リリースしたデビュー・シングル“never caught my eyes, ep”が、ギター・バンド・フリークの間で話題を呼んだpuli。ヴォーカル&ギターの青島亜良を中心に、藤本篤、堀川晃一、そして今年バンドに正式加入した元CAPTAIN HEDGE HOGのドラムス、奥脇雄一郎からなる4人組だ。ドラマーの交代、オムニバス作品への参加、そしてライヴとさらなる経験を積み成長した彼らが、ついにファースト・アルバム『repaint our dwelling』を完成。そのサウンドからは、パワー・ポップ、エモ、パンク、ブリティッシュ・ビートなど、さまざまなキーワードが浮かぶ。

「今まであるものを全部出した感じですね。ありきたりなのは好きじゃないけど、王道な感じを堂々とやるのも好きなんで、そのどっちもバランス良くできたらいいなと。結成当時、みんなが共通して好きだったのは、スーパーチャンク、ダイナソーJr、ニルヴァーナ、ポウジーズ、ソニック・ユース。最近ではホット・ロッド・サーキットとか。オルタナ・ギター・ポップというか、あの辺は染み付いてる感じはしますね」(青島)。

 疾走感、ミッド・テンポ、絶妙なコーラスワーク、そして複雑なコード展開と、彼らのアレンジには、目を見張るものがある。それがバンドのカラーを決定付けているといってもいいだろう。それを難しいものではなく、ポップに聴かせるのは、抜群のメロディーラインが楽曲の中心にあるからだ。

「楽曲のキモは、やっぱメロディーじゃないですかね。やっぱり、日本人がいちばん心を揺さぶられるのは、メロディーだと思うんですよ。自分もそうだし。今回ギターのアレンジもすごい難しいのとか考えたんですよ。でもそうじゃないなって。いちばん大事なのはメロや歌だと、やってみてわかりましたね。メロがあって、初めてアレンジがついてくると。でも誰も聴いたことのないメロディーなんて、もう誰も作れないですよね。出尽くしてますから。それでも、人と違うメロディーで、ドキッとくるようないいものを作りたいんです。誰も知らないメロディーがほしいですね」(青島)。

 その素晴らしいメロディーラインを、より引き立たせているアレンジを組み立てていく時、メンバー自身はどういった点に気をつけているのだろう。

「基本は、僕の頭に鳴ってる音をみんなに伝えてそこから合わせてみるんです。最終的には各自でパートは考えると。今回は好き勝手やってみて、それがたまたま良かったっていう感じもありましたね(笑)」(青島)。

「展開も多いんで、聴いてる人が複雑に感じるかもって思ったんです。俺としては、歌を殺さないように、くどくならないようにってところは気をつけましたね」(奥脇)。

「とにかく、曲のイメージに合ったようなフレーズが弾ければと」(堀川)。

「曲を聴いた時の最初のイメージを忘れないよう、コード感とノリをベースなりに出せればって考えてましたね」(藤本)。

 疾走感溢れるギター・サウンドにグッとくるメロディーは、まさに永遠不滅のロック・アイテム。ゆえに没個性になりがちな音楽であることも彼らは十分理解している。しかし彼らは、アイデアを駆使し、4人ならではのサウンド・カラーを打ち立てることに成功したのだ。アルバム・タイトル『repaint our dwelling』には、そんなバンド・マジックを成し遂げた彼らしさがバッチリ表されている。

「〈dwelling〉の意味は、家なんですけど、ハウスやホームより下な感じで。その単語を見た時に、まさしくオレたちのことだなって(笑)。元の素材はそんなかもしれないけど、見せ方ひとつでいくらでもよく見せられるってことですよね」(青島)。

PROFILE

puli
青島亜良(ヴォーカル/ギター)、奥脇雄一郎(ドラムス)、藤本篤(ヴォーカル/ベース)、堀川晃一(ヴォーカル/ギター)の4人組。2002年5月に結成され、2003年6月の3曲入りシングル“never caught my eyes, ep”でデビュー。その独自のグルーヴ感と良質のメロディーが大きな話題を呼び、アルバム制作の準備に入るも、オリジナル・ドラマーの阿部幸一が脱退。その後、元CAPTAIN HEDGE HOGの奥脇を迎え、3P3Bの5周年記念コンピ『CARRY THAT WEIGHT』やカヴァー・コンピ『multiply ur bloodstone』に参加。このたび、みずからのレーベルを設立し、奥脇を正式メンバーに迎えて完成させたファースト・アルバム『repaint our dwelling』(MISLED)がリリースされたばかり。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2004年09月30日 16:00

更新: 2004年09月30日 18:29

ソース: 『bounce』 258号(2004/9/25)

文/土屋 恵介