インタビュー

バンド・サウンドのベースとなった、豊潤なアメリカ南部の音楽

 ガレージーでパンキッシュ、ストーナーっぽくもありソウルフル、時にフォーキーかつブルージーなキングス・オブ・レオンのロックンロール。カテゴリーが細分化され、時代がひと回りもふた回りもした現代では、少々奇抜なくらいではいまさら驚かないのだが、このバンドに限ってはどうも一筋縄ではいかないようだ。

モロ70年代的なルックスもそうだが、サウンド面でも一つに括りようがない。幼少時代から説教師の父親と共にアメリカ南部の教会を渡り歩く生活をしており、そこでドラマティックでスピリチュアルなアル・グリーンの名曲“Love And Happiness”や、激しいギターと唱法でゴスペル~ブルース~ロックのすべてを鷲掴みにしたシスター・ロゼッタ・サープなんかも聴いていたはず。そしてロック・バンドとしての楽曲/雰囲気など、いたるところで近いと考えられるのがザ・バンドやCCR、ロックなボブ・ディランあたりであり、ここまでくると単なる懐古趣味ではなく、幼少から染みついた血と汗と涙がナチュラルに表現されたものともいえる。

また、3兄弟+従兄弟というメンバー構成に見られるファミリーの絆も、レイナード・スキナードら同じ南部のサザン・ロック勢に見受けられるもので、豪放で土臭いサウンドにも共通点を感じさせる。一方、フォーク/ブルースへの傾倒も顕著に見え隠れし、レッド・ベリー(あのニルヴァーナもカヴァー)から感じられる憂いにも似たヴァイブもあるから困ったもの。まったくもって、シンプルながら奥が深いバンドである。

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掲載: 2004年12月02日 18:00

ソース: 『bounce』 260号(2004/11/25)

文/石田 英稔

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