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インタビュー

New Order

後進に負けじとオリジネイターの貫禄を見せつけるニュー・オーダーの新作が完成!!


 ああ、ビートルズ親父やストーンズおじさんの熱弁ほどウザいものはないと長年思っていたのに……。やばい、私もニュー・オーダー(以下、NO)に関しては熱く語りたいっ!! しかも彼らのニュー・アルバム『Waiting For The Sirens Call』は、往年の『Technique』などを思わせるダンス・チューンが満載でありつつ、シンセやコンピュータの音は徹底的に人肌感。前作『Get Ready』ではジョイ・ディヴィジョン時代のアンプを引っ張り出してきてギター・ロックを鳴らしていたが、そんなルーツ回帰を経てフッ切れたのだろう、デビュー25年目にしてポジティヴで前向きな、バンド史上最高傑作を生んでしまうあたり、さすが。

 NOリスペクト!なバンドも続々登場してきている最近の英米音楽界。そんなニューウェイヴ・リヴァイヴァルな状況に刺激されて、彼らもふたたびダンス・ミュージックに向き合ったのだろうか。

「でもねえ、僕らもデヴィッド・ボウイ、イギー・ポップ、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド、ローリング・ストーンズ、ジミ・ヘンドリックス、クラフトワークなんかを聴いてきてるしね。そもそも情熱溢れるいい音楽を聴いてきたからこそ、自分も同じような音楽をやりたいと思うものなんだよ」。

 バーナード・サムナー(ヴォーカル/ギター:以下同)はあくまで「前作にはダンスが少なかったから、それで」と理由を話す。まあ、もともと80年代の英米クラブ・シーンをどっぷり愛し、早くからイビザで遊び狂っていたことでも知られるダンス好き集団。今作でも、ディスコありレゲエありと冒険心たっぷりに、楽しげなビートが刻まれる。しかも活動初期の機械的なビートではなく、むしろバーナードの声と絶妙なハーモニーが織りなす温もりを真っ直ぐに伝えてくれるのだ。

 8年ぶりの復活作だった前作では、日本をはじめ世界中のフェスで観客を狂喜させたNO。やはりダンス好きらしく、今回の作品もフェスを見据えたものだと断言。

「あのとき〈フジロック〉に来てくれたオーディエンスは素晴らしかったよね。そうそう、あの翌朝フッキー(ピーター・フック、ベース)はホテルのフロントの前にあったベンチの下で寝てたんだよな、ヘヘ」。

 絶対また来て、と祈ってしまう新作です。
▼関連盤を紹介。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2005年04月07日 17:00

更新: 2005年04月28日 16:57

ソース: 『bounce』 263号(2005/3/25)

文/妹沢 奈美