インタビュー

Staireo

すべてを虜にするスウェーデンの若獅子が、頼もしいサポーターに支えられて堂々のデビュー!!


「最初はグランジ系のサウンドに近かったんだけど、結局そのサウンドからは遠ざかったね。それからは、最近もてはやされているポップやロックのスタンダードなアレンジじゃなくて、僕たちがやりたいアレンジに軌道修正したんだ。音楽業界でなにが起こっているかなんて気にしていない。自分たちのやりたい音に集中しているよ」(ジェイムス・ウェンド、ヴォーカル:以下同)。

 そんなもん簡単にできたら苦労しねぇよ! なんて野次を飛ばすまえに、まずは実際に彼らのデビュー・アルバム『Staireo』を聴いてみるといい。そこには魂を燃やして切磋琢磨し合う若者4人の青い訴えと、もがきながらも導き出した彼らなりの明確な答えを聴くことができる。そしてさらに、冒頭の発言が新人バンド特有のつまらない虚勢ではない、ということがおわかりいただけるはずだ。スウェーデンから爆音と共に飛び出したこいつらはステレオ。彼らはある男との出会いにより、〈超要注意新人バンド〉のレッテルを貼られることになる。

「マイケル・ブラウアーがNYで僕たちのライヴを観に来てくれて、彼のほうから僕たちと仕事がしたいって言ってくれたんだ」。

 マイケル・ブラウアー──この名前にピン!ときてしまったアナタは正直相当なものだが、コールドプレイのエンジニアとしてグラミー賞を勝ち取った天才ミックス職人、あのマイケル・ブラウアーである。

「マイケルはとてもインスピレーションを持った人で、僕たちがいままでやっていたこととはまったく違った手法で、素晴らしいミキシングや音作りをすることができるんだ」。

 ありがちだけど〈好きなアーティストは?〉なんて訊けば、PJハーヴェイ、ウィーザー、イールズ、果てはフランク・シナトラの名前まで飛び出す彼ら。まだまだ音楽的な可能性を隠している様子。

「僕たちのもっとも重要な目標は、それぞれの楽曲に魂を込めて素晴らしいものを作り上げること。そのために僕たちは、できる限りそれぞれの良い部分を見つけてそれに集中するんだ」。

 こいつらの曲はマジで泣ける。なんだか恥ずかしいけど、〈シンプルで直情的な衝動が湧き上がってくるこの感じが好きで、いままでロックを聴いてきたんだよなぁ〉なんて、忘れてた何かを思い出させてくれるのだ。コールドプレイを超えるくらいビッグになれよ! 期待してるぜ!

▼文中に登場するバンドの作品を紹介。

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掲載: 2005年04月14日 12:00

更新: 2005年04月14日 18:55

ソース: 『bounce』 263号(2005/3/25)

文/冨田 明宏