Bah Samba
フロアをブラジル色に染め上げたバー・サンバが新たなるアンセムを携えて帰ってきた!!
目の覚めるようなスマッシュ・ヒット“Portuguese Love”を引っ提げて、90年代後半のブラジリアン・ハウスを大いに彩ったバー・サンバがフロアに戻ってきた。中心人物であるジュリアン・ベンダルの別プロジェクトであるオーヴァーストリートやベレーザムジカ、さらにはアリス・ラッセルのソロ作などを間に挿んでいたものの、今回リリースされた2枚組の大作『Four』は実に3年ぶりのセカンド・アルバムとなる。Disc-1にはブラジリアン・ハウス主体のアッパーなトラックがひしめき、一方のDisc-2はボサノヴァやラテン・ジャズ曲などが並ぶサウダージな雰囲気。いずれも彼ららしいメロディアスな仕上がりで、これでこそバー・サンバ!と頷きながら、すっかりいい気分にさせられる。
「多くの人と仕事をするのが大好きだからソロも楽しんで制作しているわ。ただ、私のメイン・プロジェクトはいつもバー・サンバなのよ」(アリス)。
「当初からこの『Four』はコンピ的なヴァラエティーに富んだアルバムにするっていうコンセプトがあってね。〈バー・サンバはラテン・ハウスのアーティストでクラブ向けで……〉って定義されてしまいがちだけど、僕らにはもっとソフトな面もあることを伝えたかった。ただ、ダウンテンポなボッサやラテンだけではアピールしないってわかってたから、アルバムは自然と2枚分のヴォリュームになっていったんだ。前作よりもオーガニックでライヴ感のあるものにしようと思っていた。以前よりも高い水準の作品を作るため、スタジオ・ワークにはかなりの時間を費やしたんだ。クォリティーの面なら今回は大成功なんじゃないかな」(ジュリアン)。
ところで、先述の“Portuguese Love”はティーナ・マリーのカヴァーなのだが、アルバム内にはファットバック・バンドの“Let The Drums Speak”をオリジナル・アーティストと共にカヴァーするという荒技曲も収録されている。他にもスライ&ロビーとレコーディングを済ませていた(残念ながら今回は未収)というし、過去の偉大な音楽への畏敬の念が彼らには大きい模様。同時に今作にはさまざまな思いも込められているようだ。
「今回はシリアスな作品でね。成熟したアルバムなんだ。僕とアリスのふたりにとっては、とてもパーソナルな作品なんだよ。ちょうど僕らは同じ頃にそれぞれ恋に落ちて……アリスは彼氏と出会ったし、僕には息子が生まれたし(笑)。そういったことも作品に影響を及ぼしているんだと思うよ」(ジュリアン)。
オーヴァーストリートの2003年作『No Name Yet』(Sole)