インタビュー

奥山みなこ

エヴァーグリーンな歌声で知られる彼女が、本格的にソロ活動をスタート!


 ソウルフルなラヴァーズ・サウンドでコアなレゲエ・フリークから耳触りの良いクラブ・ミュージックを愛好するリスナーまでを魅了するバンド、Reggae Disco Rockers。そのメイン・ヴォーカリストとして知られていた奥山みなこのファースト・フル・アルバム『ONE by ONE』は、彼女の歌声が持つ清爽な印象と、どこか懐かしいメロディーが醸す叙情に包まれた絶品に仕上がっている。

「狙って作ってるわけじゃないけど、〈懐かしい感じといまの感じがする〉っていうのはよく言われるんです。自分自身、メロディーが作り込まれている70年代の曲が好きだったりするので」。

 ボサノヴァ、ジャズの味わいをシンプルに注入した楽曲や、スティーヴィー・ワンダー“Ribbon In The Sky”のカヴァーなどが収録された2004年のファースト・ミニ・アルバム『MUCH LOVE』は、「ライヴ感を大事にしたくて一発録りにしたから……(レコーディングは)過酷だった(笑)」そうだが、収録された楽曲からその〈過酷さ〉は微塵も感じられないどころか、奇跡的な開放感が漂っている。その一方で、今作はコーラスの流麗さ、ミニー・リパートン“Simple Things”などのサンプリングやゲスト・ミュージシャンによる卓越したセッション・ワークなど、俄然趣向の凝った仕上がり。

「同じことは2度したくないんですね。だから今回は、途中で止まっていた曲やアイデアを採り入れながら、レコーディングでも自分がしっくりくるまでアレンジにも口を出させていただきました。何パターンもアレンジしたけど、結局自分が好きになれなくて最終的にピアノの弾き語りにした曲もあるし、スタジオでみんなのアイデアが溢れ出して、いろんなものを次々に詰め込んだ曲もあります。それらがまとまって聴こえるのは、プロデューサーの(高宮)永徹さんの力ですね(笑)」。

 もちろん、自身によるソングライティング力あってこそアレンジも活きるわけだし、「ただ〈フレーズが出来ました〉って感じにはしたくなかった」というように、本作は心地良さに終始したモノではない。何より、ケリー・パターソン“Magic Wand Of Love”のカヴァーで幕を閉じる最後の音像まで、彼女自身が発する瑞々しさが消えることはないのだから。

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掲載: 2005年04月28日 15:00

更新: 2005年04月28日 16:33

ソース: 『bounce』 264号(2005/4/25)

文/立野 幸恵