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インタビュー

あふりらんぽ

音楽シーンが大混乱! どギツイ化粧に真っ赤な衣裳を身に纏い、ヤツらが世界を狙い撃つ!!


「字面も丸いからか、くるくるくる~って回りながらいろんなところに行く感じ。最終地点もないねん。そのままずっと続いていく」(ピカ、ヴォーカル/ドラムス)。

 そうバンド名のイメージを語るピカ。あふりらんぽ――それにしてもヘンテコなバンド名である。名前の由来は「小学校の頃友達が交換日記に書いた〈あふりらんぽ〉っていう言葉がずっと気になってて、そのままバンド名にした。意味は不明」(オニ、ヴォーカル/ギター)とのこと。そんなあふりらんぽは、大阪出身のオニとピカによって2002年に結成された2人組で、コッテリとしたドロドロのロックを聴かせてくれるガールズ・バンドである。〈ずっと2人でやってきたの?〉との質問にも「ウチら2人のほかにも精霊がたくさんいてます。メンバーの変動はかなり激しいですよ」(ピカ)とのお答え。名前/風貌/発言とどこをとっても得体の知れないこの2人、手始めに最近よく聴く音楽を訊ねてみた。

「X JAPAN! めちゃめちゃロマンティック」(オニ)。

「ムームかなぁ。友達に聴かせてもらってめっちゃ良かった。ビョークも好き。もしかしたら寒い地方の音楽が好きなのかも」(ピカ)。

 そのほかにも、〈フィリピンの宗教音楽〉や〈メキシコの民俗音楽っぽいやつ〉など、出るわ出るわ。ジャンルや国籍に縛られず、あらゆる音楽をすべて同列で吸収できる柔軟さに驚かされる。

 あふりらんぽの最大の魅力は、なんといっても強烈なパフォーマンス。どギツイ化粧と真っ赤な布を身に纏い、裸足でステージ上をのた打ち回る。誤解承知で〈白痴のおいらん〉なんて言葉が浮かんでしまうほど、そのインパクトの大きさは凄まじいものがある。あのサーストン・ムーアも心を奪われ、ソニック・ユースのヨーロッパ・ツアーのオープニング・アクトとして大抜擢したほど。また、ヴィンセント・ギャロを虜にしたり、有名ブランド〈PRADA〉のパーティーからもオファーがきたりと、世界中から彼女たちへのラヴコールが後を絶たない。観る人を釘付けにする彼女たちのライヴには、言葉とかそういう次元を超えた力が秘められている。

 そんなあふらりんぽが満を持して初のフル・アルバム『URUSA IN JAPAN』をリリースする。しかも、今作はメジャー・デビュー盤だ!

「メジャーだからとかそういう気負いはなかった。レコーディングはシカゴでやってん。レコーディング期間は4日間でしたけど、その間も煮詰まって日本に戻ってきました」(オニ)。

「で、お茶飲んで、洗濯物を片付けて、〈よし、行こう!〉って感じでまたシカゴへ飛ぶみたいな」(ピカ)。

 こうして届けられた本作には、“ドドドド”“オニピカハート”などライヴでもお馴染みの曲がギッシリ収録されている。

「いままでバラバラに収録されていた曲がちゃんと1枚にまとまってスッキリした」(オニ)。

「スッキリちゃんちゃんこ」(ピカ)。

 キレ味鋭く力強いドラム、うねりながらも爆音で疾走するギター、そして狂気じみた2人の奇声。基本的にはインディー時代とは変わらない〈あふりらんぽ臭〉がデロンデロンに漂う1枚。読者に対して、「出しまくってくれ~」(オニ)&「篭ってください」(ピカ)と語る2人。ライヴで失神する前に、まずはこのアルバムを聴いて免疫を付けておけっつーの!!
▼関連盤を紹介。


ムームの2004年作『Summer Make Good』(Fat Cat)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2005年05月12日 16:00

更新: 2005年05月12日 19:09

ソース: 『bounce』 264号(2005/4/25)

文/山西 絵美