インタビュー

SOADだけじゃない! 狂った社会に牙を剥く勇敢な戦士たち!!

 社会に対して〈ざけんな~〉と怒っているのはSOADだけじゃない。というわけで、ほかに怒っているアーティストを挙げてみようと見回してみたのだが、アーティスト本人は怒っていても意外にも作品自体はあまり怒っていなかったりする。それもブッシュ再選による後遺症? 〈ブッシュ批判はもういいや〉っていう敗北感とも脱力感ともつかない悲観的ムードが、ここ最近確かに流れているのは気のせいだろうか? 

 しかし、こんな時こそ〈やっぱ俺は言わせてもらうぜ!〉という姿勢を貫いたグリーン・デイやビースティ・ボーイズは偉い。男を上げたっていうやつだ。ブッシュを殺人犯呼ばわりしたパパ・ローチの勇気にも驚いた。少し前までは自分のトラウマを泣き叫んでいたのが、いまや大声でブッシュを怒鳴りつけているのだから。同じくスケこましのイケイケ男だったフレッド・ダースト率いるリンプ・ビズキットも、リリースされたばかりの新作で全編に渡りブッシュ批判。変わりようの激しさという点では、数年前にはリリックの中で自分の妻を殺して川に捨てていたエミネムなんて、いまや怒りの矛先を真っ向からブッシュに向けている。対してあれほどブッシュ再選を阻もうとしていたブルース・スプリングスティーンともなれば、アコースティックな新作で直接的な発言を控えることで怒りを表明。またル・ティグラやケミカル・ブラザーズのわかりきってる平和主義ほど無邪気で、真髄を突いた怒りはないだろう。プロモ・クリップで反戦を訴え掛けたイエローカードの素朴な怒りも眩しすぎ。そして、このあと怒りの切り札を出してくれそうな人といえば、やはりレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンで数々のポリティカル・イシューと向き合ってきたザック・デ・ラ・ロッチャの顔が浮かぶ。そろそろ出番なんだよね。
▼文中に登場したアーティストの作品を一部紹介。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2005年06月23日 15:00

更新: 2005年06月30日 19:03

ソース: 『bounce』 265号(2005/5/25)

文/村上 ひさし