インタビュー

Space Cowboy

フロアに熱狂を投下する宇宙のカウボーイ……またバカ騒ぎの夜がやってきた!!


 まいったなあ。完全に想定外である。〈想定内〉という言葉がもうすっかり古くなっていることも完全に想定外である。確かに僕らがスペース・カウボーイに求めていることは〈もっとアゲなさいよっ!!!!!!!!!〉(青木さやかの声マネで)であることは確かなのであるが、新作『Big City Nights』に至っては、もう完全にやりすぎである。谷岡ヤスジ風に言えば〈鼻血ブーで失血死〉レヴェルの衝撃。死んでどーする、である。つまり、洒落になっていないのだ!

「アハハハ! そうそう! もう達成感でいっぱいだよ! 今回はもっとダイナミックなものを作りたかったし、世界中のクラブ、特に日本でやったパーティーで経験したものをもっと反映させた作品にしたかった。前作が少しリラックスしてたからね。今回はもっとエネルギッシュなものにしたかったんだ!」。

 激アツ☆ハウスとチルなダウンビートが豊かな起伏を作っていたファースト・アルバム『Across The Sky』で世界中のフロアを揺らしてきたスペース・カウボーイ。そんな彼の最新作は、自身のベースとなる80年代のヒップホップ・グルーヴが炸裂したアルバムになった。デスティニーズ・チャイルドを彷彿とさせるド派手なR&Bチューン“I Remember When”やファンキーなブレイクビーツ“Like A Train”はその好例。さらに80'sミュージックの煌びやかな要素をたっぷり吸収したハウス・チューン“Shaker Baby”“Across The Sky”にも、かつてランDMCやビースティ・ボーイズが見せてくれたようなあらゆる音楽を大胆にミックスしていくダイナミックなアプローチが活きている。

「まさにそのとおりだよ! 80年代の多くのラップ・ミュージック、例えば“Walk This Way”やビースティ・ボーイズの楽曲にしても、ロックとラップを融合させて、みんなが踊れる音楽を作っていただろ? ああいう、いろんな音楽的要素を採り入れたサウンドは本当に素晴らしいと思うんだ。それに、あの頃の音楽はロックにしてもラップにしてもダンス・ミュージックにしても、どれもポジティヴなメッセージを持っていると思う。それにさ、80年代の大物バンドって現実を超越した感じの〈超人的なエネルギー〉を感じない? そうしたヴァイブを僕は表現したかったんだ!」。

 そしてもうひとつ。今作はかなりメロディアスで展開のある楽曲が多い。その点に関して彼はこう語っている。

「文化や言葉の壁を超えるものって、曲の雰囲気やメロディーだと思うんだ。だからそのメロディーを今回はもう少し前面に出そうと思った。僕はクラブ・ミュージックと同じくらいポップスも好きだから、その両者が共存するようなものにしたかった。いっしょに歌えるもので、火曜日の午後に聴いても土曜日の夜に聴いてもいいものを作りたかった。それこそ、自分が本質的にめざしているものだと思うんだ」。

 まさに〈無敵〉としか言いようのない強烈なアルバムを引っ提げてシーンに帰還したスペース・カウボーイ。あとは自宅でフロアで、聴き倒して踊り倒すのみ。あ、興奮しすぎての鼻血ブーにはくれぐれも御☆注☆意☆をっ!!!!!!!!!

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掲載: 2005年07月14日 17:00

更新: 2005年07月28日 11:41

ソース: 『bounce』 266号(2005/6/25)

文/佐藤 譲