インタビュー

DREAM STATE

美しいピアノの響き、ダイナミックなギター、切ないメロディー──三種の神器を携えた大型新人がエモ界から突如現る! これを聴かずして新しい年は始まらない!

ピアノの音色ってとても美しいだろ?


美しいピアノの音色をギター・ロック・サウンドに溶かし込むことで、その個性や、若さだけが放つことを許されたキラキラとしたとした輝き、そして青春期特有の切なさを際立たせようとしているバンドたちが、いま注目を集めている。

〈ピアノ・エモ〉──とりあえず、そんな名称を与えられたそのムーヴメントは、その先駆者とも言えるサムシング・コーポレイトのアンドリュー・マクマホンによる新プロジェクト=ジャックス・マヌカンや、このドリーム・ステイトをはじめとする多くの活きのいいバンドの活躍によって、今後さらなる活況を呈していくはずだ。ひょっとすると、2006年は〈ピアノ・エモ元年〉として後々ロック・ファンに記憶されることになるかもしれない。

「ピアノの音色ってとても美しいだろ? それに子供の頃に聴く童謡や映画の音楽にはピアノが使われているものが多い。だから、自然と優しく響くんじゃないかな? キッズたちはきっとこれが新しいものだと思っているんだろうけど、ビリー・ジョエルやエルトン・ジョンはずっと前から本当にピアノの良さがわかっていたんだよね(笑)」(ニック・ガーザ、ヴォーカル/ギター/ピアノ:以下同)。

 ピアノ・エモの台頭を、そんなふうに分析し、その渦中に自分たちがいることを認めながらも「多くのエモ・バンドが彼らの音楽にピアノを採り入れようとしているみたいだけど、俺に言わせれば笑っちゃうような使い方しかしていないよ(笑)」と豪語する彼が率いる4人組(サポート・メンバーを含む)こそ、このドリーム・ステイトだ。

 2004年6月にアリゾナ州メサでケイシー・ジョーンズとして活動を開始した彼らはファーストEP『No Vacancy』リリース後、同年12月にメンバー・チェンジを経て現在のバンド名に改名。そして、2005年5月にひっそりと自主リリースしたファースト・アルバム『Something To Believe In』が某オンライン・ショップで本人たちも予想外のヒットを記録し、一躍注目バンドとしてシーンに浮上してきた。

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掲載: 2006年01月19日 13:00

更新: 2006年01月19日 17:00

ソース: 『bounce』 272号(2005/12/25)

文/山口 智男