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インタビュー

El Presidente(2)

見た目に気を使うのはバンドとして当然

 音楽的方向性を確立したダンテは、次にバンドのメンバーを結集。旧知のトーマス・マックニース(ベース)とジョニー・マックグリン(ギター)、レストランの馴染み客だったローラ・マークス(キーボード)、楽器店に貼り出した告知を通じてコンタクトしてきたドーン・ツー(ドラムス)を加えて、エル・プレジデンテを正式に始動させたのは2004年後半のことだ。シンガポール出身のドーンからアイリッシュのジョニーまで男女混成のコスモポリタンな面々は、ダンテと同様幅広い趣味の持ち主で、全員の接点を突き詰めるとプリンスとレッド・ツェッペリンに行き着くのだとか(なるほど、両者が交わる場所にいるのがエル・プレジデンテと捉えることも可能だ)。以後5人でライヴ活動を始め、オアシスやカサビアンの前座にも抜擢されてUK国内のプレスの注目を集めた彼らは、ワン(プライマル・スクリームらのマネージメント会社が設立したレーベル)と契約。『El Pres!dente』を本国で発表する。 収録曲にはギッツィー兄弟の作品からベストな曲を選んだというが、“Without You”のグラム、“Rocket”のサイケ・ファンク、“Turn This Thing Around”のメロウなディスコ、“Keep On Walking”のハード・ロック……と、「曲ごとにスタイルもサウンドも変える」という初心を貫徹。逆に全編で共通しているのは、前述したとおりダンサブルなグルーヴとキャッチー極まりないメロディーだ。「いっしょに歌えなくちゃ意味がないから」とダンテ。また、セルフ・プロデュースを選んだこともオリジナリティーに貢献しているのだろう。

「うん、僕がこれらの曲をいちばんよく知ってるからね。頭の中で鳴ってる音を形にすればいいだけだし、他人にあれこれ説明するのは時間のムダだよ。ガン時代にそれで苦労したから(笑)。もちろん世界一優れた音質のアルバムではない。でも僕にとっては最高の音なのさ」。

 ちなみに彼らは2005年11月に初来日し、東京でライヴを敢行。パフォーマンスのおもしろさもさることながら、ダンテは深紅のスーツでドーンはセクシーなドレスという具合に、グラマラスな5人の姿もインパクト大だった。「見た目に気を使うのはバンドとして当然」とダンテは受け流すが、スタイリッシュなアートワークやプロモ・クリップも含め、ヴィジュアル面へのこだわりも日本での成功と無関係ではないと思うのだが……。

「それにしても日本での反響には驚いたよ! ただ、僕が音楽を作るうえでいちばん重視しているのは、自分自身が目一杯楽しみ、そして他人を楽しませることなんだ。それは今後もずっと貫くつもりだし、そんなシンプルな目的を持った音楽だからこそ、遠く離れた日本でも広く受け入れてもらえたのかもね!」。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2006年03月02日 13:00

更新: 2006年03月16日 23:19

ソース: 『bounce』 273号(2006/2/25)

文/新谷 洋子