インタビュー

Rie fu

優美でロマンティックで棘のあるニュー・アルバムが咲いた!!


 その自由な感性で、カーペンターズを思わせるウォームな歌を綴ったファースト・アルバム『Rie fu』をいきなりチャート上位に送り込んだシンガー・ソングライター、Rie fu。シングル“I Wanna Go To A Place...”のヒットなど、順調な歩みを経てリリースされた今回のセカンド・アルバム『ROSE ALBUM』は、現在もイギリスの芸術大学に留学している彼女のリラックスした生活環境が反映されたような、さり気ない佇まいが実に魅力的な作品となった。

「確かにストレスはまったくない雰囲気でした。ロンドンのレコーディングではスタジオ内がブースごとには分かれていなくて、全体でリハーサルしているのと同じ感覚で録ったり、スタッフもいっしょに輪になってハンド・クラップを録ったりしました」。

 プリテンダーズのメンバーと共に録音した3曲も含め、アコースティックな質感を持った楽曲群は70年代クラシック・ロックにも通じる風通しの良さが堪らない出来映え。そして、イギリスの風景から生まれたキラキラした言葉たちも本作をさらにインティメイトなものにしている。

「日本とは比べようもないぐらい空を近くに感じることや、通り雨で濡れた地面に日差しが当たってキラキラしている瞬間、夕焼けが見たこともない色をしていて、通りの木の枝がシルエットになって見える瞬間──日常の中で感じたそういう何気ない光景の印象が、歌になっていたりします」。

 マジー・スターやモビー・グレープに影響を受けたサイケな楽曲や、日本情緒に溢れた最終曲“ねがいごと”などにも彩りを添えられ、〈何かが始まるとき〉というテーマを持った『ROSE ALBUM』は21歳のRie fuの充実した現在を伝える。イギリスと日本を繋ぐそのシンプルなヴァイブは多くのリスナーを魅了するに違いない。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2006年04月20日 00:00

更新: 2006年04月20日 18:28

ソース: 『bounce』 274号(2006/3/25)

文/内田 暁男