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インタビュー

THE RACOUNTEURS

デトロイトのロック界を代表するアノ人たちが集結した100%本気バンドから目が離せない!


 このラカンターズというバンドは〈サイド・プロジェクト〉と表するべきではないと思う。彼らは長期的な活動を目論んでいるのだから。それに、知名度の差に関わらず4人のメンバーが平等な立場で参加していることも、忘れてはならない。その4人とは、ホワイト・ストライプスのジャック・ホワイト(ヴォーカル/ギター/シンセサイザー)、シンガー・ソングライターのブレンダン・ベンソン(ヴォーカル/ギター)、グリーンホーンズのジャック・ローレンス(ベース)とパトリック・キーラー(ドラムス)。新世紀のデトロイト・ロック界を代表する面々だ。98年にグリーンホーンズのライヴ会場で出会い意気投合した彼らは、いっしょにツアーをしたりコラボしてたりして友情を育んでいくのだが、「僕とブレンダンが2年前に(デビュー曲となった)“Steady, As She Gone”を書いた時に手応えを感じて、すぐパトリックたちと連絡を取り、バンドに発展したんだ」とジャック(・ホワイト)は振り返る。以後コツコツとセッションを続け、ここにやっとファースト・アルバム『Broken Boy Soldiers』が完成したというわけだ。

 かといって音楽的に確固としたイメージは抱いていなかったという。

「とにかくこのメンツでプレイすること以外は何も考えてなかったから、どんな形になるか想像もつかなくて、アルバムに収録されているものはすべて自然発生的に生まれたんだよ。僕たちは基本的に友達だってことから始まってる。ほら、友達だからこそ共有する〈何か〉っていうのがあるだろ?」(ブレンダン)。

 なるほど、アルバムを聴く限りでは、4人の強烈な個性が見事に溶け合って、メロディックでキャッチーなギター・ロックに消化されている。ブルースから70年代ロックまで、実に多彩な影響源が感じられるも、ルールに縛られていないから鳴らす音も自由気まま。レコーディング作業もストレスとは無縁だったようだ。

「〈4人でいっしょにプレイして新しい音楽を作る〉という楽しさが先に立ってるから、言い争うこともなかったね。お互いに〈もっと何か出てこないかな?〉って背中を押して、 補完し高め合う仲なんだよ」(ジャック・ホワイト)。

 現在は全員がデトロイトを離れて、ナッシュヴィルに在住。そんなところにも一致団結ぶりが表れているが、「いまのデトロイトにはなげやりでネガティヴな空気が漂っている」とブレンダンは4人を代表して言う。南部に旅立ち、心機一転新しいスタートを切った彼らの挑戦を、長い目で見守ろうではないか。
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カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2006年06月08日 20:00

ソース: 『bounce』 276号(2006/5/25)

文/新谷 洋子