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インタビュー

Jessica Simpson(2)

心から私の心情を受け入れてくれたの

 今作のプロデュースにあたったのはスコット・ストーチ(ビヨンセ、クリスティーナ・アギレラ、50セント)、レスター・メンデス(シャキーラ)、コーリー・ルーニー(マライア・キャリー、ジェニファー・ロペス)などなどの売れっ子たち。しかし、目玉は何と言ってもあのジャム&ルイスが手掛けた3曲だろう。

「素晴らしい才能を持ったたくさんのプロデューサーといっしょに仕事をしたわ。なかでもジミー・ジャムとテリー・ルイスは憧れの存在。彼らはヒット曲をたくさん生み出してきた人だし、心から私の心情を受け入れて、私がどういった曲を書きたいのかを理解してくれた。作曲家の人々といっしょに曲を書くためには、自分の心の内を歌に反映できるくらいの繋がりを持つことが大切でしょ。ジャム&ルイスとはすごくスピリチュアルでパワフルな絆を持つことができたわ」。

 ジャム&ルイスとの共演は、先にリリースされたジェシカ主演の映画「The Dukes Of Hazzard」の主題歌“These Boots Are Made For Walkin'”(ナンシー・シナトラのカヴァー)で、ブッ飛び具合は証明済み。正直言ってあの曲は取り付く島もないほど不可解だったけど、このアルバムでの共演は同じくブッ飛びながらもピシッと一本筋が通っている。カウベルで始まるカントリーとファンクを掛け合わせた“Push Your Tush”なんて、テキサス出身のジェシカ×ジャム&ルイスの組み合わせでなければ入れなかった未踏の境地。ジャネット・ジャクソンではこうはならなかったはずで、その点は明白だろう。

 いまやトレンドセッターとしてセレブ帝国の頂点に君臨するジェシカ。自分のクロージング・ブランドを持ち、靴やバッグ、コスメのブランドを手掛けるほか、〈もっともステキなヘアスタイル〉〈もっともセクシーなボディー〉のNo.1に選出されたり、もちろん本業である音楽のほうも前作『In This Skin』で大ヒットを手に入れた。そして、すべてが順調だった最中にどん底、絶望を体験した。でもクヨクヨ、メソメソ失意を綴る代わりに、明るく笑顔を向けることを決意。いまのジェシカを見ていると、カントリー・シンガーの大御所=ドリー・パートンにも通じる南部女性の秘めたる力強さや逞しさというのを痛感させられる。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2006年09月28日 19:00

更新: 2006年09月28日 21:59

ソース: 『bounce』 280号(2006/9/25)

文/村上 ひさし