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インタビュー

DJ NORI

パーティーの熱気を感じ取れ! 新旧フロア・キラーを織り交ぜた初のミックスCDが登場!!


 「僕は結構ポンコツですよ(笑)。わりとスロウ・スターターで、何時間か回していると温まってくる」と謙遜しながら自身のプレイ・スタイルを語り、「要はDJって良い音楽を提供する立場だから。普通のミックスでも、その音楽がちゃんと伝わればいい。そこにルールはないんだし」なんて、シンプルながらも含蓄のあるミックス論を聞かせてくれる。4半世紀に及ぶDJキャリアを誇るDJ NORIは、近年は東京・青山LOOPでの〈Smoker〉、ALEX FROM TOKYOや長谷川賢司らとのパーティー〈Gallery〉などを拠点に国内外でDJ活動を行う大ヴェテラン。そんな彼がこのたび発表する(意外にも)キャリア初となる正規のミックスCD。中身はさぞ秘蔵のダンス・クラシックスがテンコ盛りだろう……と思ったら、そいつは早合点でありました。

 「ルーツといえる音も新しい音も好きなんで、そのなかから選曲した12曲。ジャンル分けしていくと色々あるけど、最近はトランスでもテクノでも、ハウスに近くなってきたり、隔たりがどんどんなくなってきているな……って感じます。ただ根本は変わっていないですよね。(流行のサイクルが)何周もして、もう3周目か4周目くらいかな。それでもまた、若い世代が古いものからインスパイアされた新しい音を作っていって……」。

 現行の楽曲を軸に据えた本作は、知己のあるDJハーヴィー率いるマップ・オブ・アフリカの湿度の高い未発表曲にて幕を開け、北米のギャヴィン・フルーム、独のアーム、英のチャールズ・ウェブスターらのトラック群が、ディープ~プログレッシヴ~テクノといったフィールドが交差する今日的なポイントで緩やかに展開します。それはNORIが「低いところから始まり、流れができるまで……」と表現するパーティーの序章をじっくり味わえるような流れ。終局はピエール・パーポールのディスコ・ブギー“We Can Make It”、エンディング用にリエディットされたヴィオラ・ウィリスのハイエナジー古典“If You Could Read My Mind”が温かく締めてくれます。

「80年代のエレクトロニックな音は、わりと昔からずっとかけてましたけど、いまはすごい反応が良いですよね。〈芝浦GOLD〉なんかがあった時代には、ハッピーなものを要求されているような感覚もあって。そういう意味では、いまはお客さんの趣味も広がってきているのかな。だからシリアスな部分も、楽しい部分も出せる」。

 次作の機会があれば?と尋ねると「もっと新しいものと、古いものが混ざっているスタイルでいきたいですね」と答えたDJ NORI。その眼差しは古典原理主義に囚われず、途方もなく長いダンス音楽史全体に向かっているのでした。
▼DJ NORI選曲のコンピを紹介。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2007年02月01日 21:00

ソース: 『bounce』 283号(2006/12/25)

文/リョウ 原田