一十三十一の〈趣味はハモり〉な音楽遍歴を振り返ってみよう!
『360°』
全18曲というヴォリュームで、まさにタイトルどおり全方位を向いて円環する壮大な音楽世界を提示してシーンを驚愕させた、一十三十一が2003年にリリースしたファースト・アルバム(boogaloo)。アコースティックなサウンドの中で、自由自在かつ有機的に踊り、泳ぐ、才気迸るその歌声とメロディーにただただ圧倒される。トライバルなリズムで原始(幻視)的に解釈したビートルズ“Across The Universe”のカヴァーも収録。(残念ながら今作は現在入手困難)。
野崎良太(Jazztronik)
最新アルバム『Beauty-Flow』(Knife Edge/ポニーキャニオン)も絶好調なJazztronikこと野崎良太。2002年にリリースされた一十三十一の記念すべきデビュー・シングル“煙色の恋人達”のアレンジは彼の手によるもの。カップリング曲“フライデイ”では作曲も手掛けた。
『 (フェルマータ)』
2004年にリリースされた、一十三十一のメジャー・デビュー作となるミニ・アルバム(徳間ジャパン)。タップダンサーとのコラボによるジャジーなナンバーや、“DOWN TOWN”“渚にて”といったキャッチーでメロウな美メロ曲など6曲を収録。音数を絞ったアレンジによって、彼女の歌声とメロディーの美しさがグッと迫ってくる一枚。
堀江博久(ニール&イライザ)
〈フェルマータ〉の共同プロデューサー。Coccoや岸田繁(くるり)と結成したSINGER SONGERで『ばらいろポップ』(スピードスター)をリリースしたことでも話題になったが、最近では木村カエラや彼女も参加したサディスティック・ミカ・バンドでキーボーディストとして活躍。コーネリアスから横山健、HARVARDにまで関与する一流ポップ職人!
須永辰緒
Sunaga t experience名義での2003年作『DOUBLE STAN-DARD』(レディメイド・インターナショナル)収録のビターなジャズ・ナンバー“路地裏”に、一十三十一はゲスト・ヴォーカルとして参加。妖艶で気怠い歌いっぷりが最高!
『Synchronized Singing』
2005年にリリースされた一十三十一のセカンド・アルバム(徳間ジャパン)。CICADAやASA-CHANGといった鬼才からflex lifeなど実力派バンドともコラボしたカラフルでエレクトロニックな作品で、ニューミュージックの大御所・尾崎亜美作曲によるアンニュイな名曲“プラチナ”も収録。また、GR-OUPによる静謐な演奏をバックにしたスマッシング・パンプキンズの美しいスロウ・ナンバー“Beautiful”や、パードン木村によるアヴァンギャルドに解釈された山下達郎“時よ”のカヴァーも披露している。
流線形
2006年にリリースされるやいなや、そのシティー・ポップ~AORサウンドの完全再現っぷりがウケてロングセラーとなっている流線形の『TOKYO SNIPER』(Happiness)。ヴォーカルは江口ニカなる美大生となっているが、一十三十一の変名なのでは!?というウワサが。
宮川 弾
安藤裕子への楽曲提供や宮川弾アンサンブル名義での2006年作『pied-piper』(cutting edge)などで注目のポップ・マエストロ。『TOICOLLE』に収録された、爽やかでキャッチーなダンス・ナンバーの新曲“Mangosteeeen!”“デイライト”の作曲/アレンジは彼が手掛けています!
山下達郎
吉田美奈子による名バラード“時よ”。一十三十一がライヴのラスト・ナンバーとしてよく取り上げるこの曲は、山下達郎が78年にリリースしたライヴ盤『IT'S A POPPIN' TIME』(BMGファンハウス)のヴァージョンをカヴァーしたもの。『TOICOLLE』収録の船上ライヴ映像でも、同ナンバーを完全に自分のものとした圧巻の名カヴァーっぷりが楽しめます。
大貫妙子
一十三十一がライヴでよく取り上げるのが、大貫妙子の77年作『SUN SHOWER』(クラウン)に収録されている不朽の名曲“都会”。ジャパニーズ・ポップス界のクイーンとプリンセスともいえる2人のコラボは、NHKの歌番組でのデュエットとして実現しましたね!
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カテゴリ : インタビューファイル
掲載: 2007年04月05日 17:00
更新: 2007年04月05日 18:34
ソース: 『bounce』 285号(2007/3/25)
文/ダイサク・ジョビン