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インタビュー

色褪せることを知らない、未来世紀ブラジルの音楽家たち その1

akikoとアンリ・サルヴァドール――ジャズを出自とするシンガーという共通項があるとはいえ、国籍も年齢も性別も異なる2人が、まるで呼び寄せられるかのように同じタイミングでブラジルを訪れ、同地を代表するミュージシャンたちとそれぞれ素晴らしい作品を作り上げた。ここでは、そんな〈いつでも未来から聴こえてくる〉ようなブラジル音楽の重要人物と作品を紹介しよう。

モレーノ、ドメニコ、カシン
カエターノ・ヴェローゾやジョアン・ドナートなどレジェンズたちも巻き込んだ〈+2〉ユニットによる3部作――2001年のモレーノ+2『Maquina De Escrever』、2002年のドメニコ+2『Sincerly Hot』、2006年のカシン+2『Futurisimo』(すべてPing Pong/Luaka Bop)によって世界にその名を知らしめた、現在のブラジル音楽を最前線で牽引する新世代トライアングル。akikoの『Vida』にも準メンバー的なペドロ・サーも含めて参加し、アーバンで洗練されたグルーヴとオルタナティヴな感性による遊び心のあるサウンドを披露。昨年の来日公演ではコーネリアス、嶺川貴子、高野寛、Saigenjiがゲスト参加したことでも話題となった。次回作はジョン・マッケンタイア(トータス)やショーン・オヘイガン(ハイラマズ)とのコラボというウワサも。

マルコス・スザーノ
『Vida』に活き活きとしたリズム・マジックをもたらしているのが、ブラジルのみならず日本のミュージシャンからも数多くのラヴコールを受け続けている彼。宮沢和史、高野寛、そして『Vida』にも共に参加したフェルナンド・モウラらと結成したGANGA ZUM-BAのファースト・フル・アルバム『UM』(Rhythmedia Tribe)でも、その革新的で魔術的なグルーヴを聴くことができる。

アート・リンゼイ
カエターノ・ヴェローゾや坂本龍一など、90年代以降の重要なブラジル音楽作品のプロデュースを数多く手掛けてきた、危険で甘美な知性と野性を併せ持つ〈半分ブラジル人〉のニューヨーカー。2005年作『Salt Plus Two』(ビデオアーツ)にはカシン、ペドロ・サーも参加、コーネリアスやハーバートとのコラボ曲も収録されている。『Vida』では詞を提供し、美しいボッサ・ナンバーではakikoとのデュエットも披露。

GIRA MUNDO
『Vida』の共同プロデューサーを務めたのがGIRA MUNDOこと奥原貢。昨年、akikoも参加したリオデジャネイロ録音作『Ponto de partida -Rio de janeiro-』と、スザーノやSaigenjiが参加したサンパウロ録音作『Ponto de partida -Sao paulo-』(共にGIRA MUNDO DISCOS/NEW WORLD)を同時リリースして話題を集めた。5月には新作をリリース予定。

Saigenji
そのGIRA MUNDOが昨年プロデュースしたのが、日本のブラジリアン・ミュージック・シーンを革新する異端児=Saigenjiの『Music Eater』(東芝EMI)。また、Saigenjiは2005年に単身リオデジャネイロに乗り込み、今回akikoが『Vida』をレコーディングしたカシンの自宅スタジオにて〈+2〉ユニットの連中と共に、カシンのプロデュースによる『ACALANTO』(東芝EMI)を作り上げた。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2007年05月02日 17:00

更新: 2007年05月02日 17:43

ソース: 『bounce』 286号(2007/4/25)

文/ダイサク・ジョビン

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