インタビュー

デジタリズムと並走する世界のロッキン・ダンス・アクトたち

 ロック・アクトによるダンス・シーンへのアプローチが盛んな昨今、デジタリズムを筆頭とするダンス・アクトも続々とロックへ接近している。その越境ぶりは千差万別だが、自身の音楽性にロック的な要素を持つのはもちろん、ロック系アーティストのリミックスを手掛けることで名を上げたシミアン・モバイル・ディスコやジャスティスあたりはその代表格だ。レーベル単位だとエド・バンガーやキツネは言うに及ばず、ガス・ガスやコバーンを擁するグレイト・スタッフ、グースをリリースしたスキントあたりにも注目したい。またクラブという現場レヴェルでは、DJとして両シーンの橋渡し役を担ってきたエロール・アルカンの動向はとても重要。ロックなダンス・アクトが気になる人はなおさら注視すべきだろう。さらに、最前線で活躍しながらこうした現状に至る下地を作ったティガ、キラーズやカサビアンのリミックスを手掛けたレ・リズム・デジタルことスチュアート・プライスらヴェテランの存在も見逃せない。
(青木正之)

COBURN 『Coburn』 Great Stuff(2006)
サイケ~プログレッシヴ・シーンのスター2人がエレクトロ・ハウス界に殴り込み! ポップ・テイストに富んだこのファースト・アルバムは遊び心満載の仕上がりで、大ヒットとなったアンセム“We Interrupt This Program”ももちろん収録!
(青木)

THE EGG 『Forwards -Special Edition』 Squarepeg(2007)
本編はインディー・ロック好きにオススメのポップ盤……ということで、ここではリミックス収録のDisc-2を断然プッシュ! マイロ、トカディスコによるエモーショナル&キャッチーな激烈ロッキン・エレクトロ・ハウスが最高!
(青木)

『Bugged Out Presents Suck My Deck : Simian Mobile Disco』 Resist(2007)
アルバム前の挨拶も兼ねたミックスCDは、かつてダフト・パンクやティガも出演したパーティー〈Bugged Out〉経由。ジョアキムで始まってラストのホワイト・ノイズまで、パンキッシュなグルーヴが渦巻く!
(青木)

『A Bugged Out Mix By Erol Alkan』 Resist(2004)
カリスマ的な人気を誇る現行シーンの超重要人物が放った2枚組ミックス盤。ソウルワックスやティガ、オルター・イーゴらのトラックをロッキン&アシッディーに料理しています。Disc-2のサイケ・ミックスも強烈で個性的!
(青木)

capsule 『Sugarless GIRL』 contemode(2007)
女子ヴォーカルが映える初期の可愛らしいイメージを抱いて接したらビックリ! 豊胸気味のセクシーなエレクトロ・ディスコを敷いた上々のダンス・トラック集になっております。そのうちキツネにピックアップされちゃいそう?
(狛犬)

GOOSE 『Bring It On』 Skint(2006)
名門スキントから登場したベルギーの有望株。もともとバンドがスタート地点だったということもあってか、ダイナミックでワイルドなグルーヴが特徴。レーベル・カラーともマッチしそうな、ライヴ映えするアゲアゲ系トラックが並ぶお祭り盤!
(青木)

GUS GUS 『Forever』 Great Stuff(2007)
グレイト・スタッフ移籍第1弾は、ダンスフロア直結のボディー・ソニックなビートが気持ち良いエレクトロ・トラックを多数装備。ノリの良いアッパー・チューンや女性ヴォーカルも導入し、ポップス&ロック方面にもきっちりアピールしている。
(青木)

TOMBOY 『Serios』 Gomma(2007)
ハンブルグへの不満を連発するデジタリズムですが、ミュンヘンにまで足を伸ばせばキツネに似た審美眼を持つゴマがあったのよ……。フー・メイド・フーのドラマーだったトム君のこのソロ作はパンキッシュなエレクトロ・ディスコの快作です。
(狛犬)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2007年05月17日 20:00

ソース: 『bounce』 286号(2007/4/25)

文/青木 正之、狛犬

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