インタビュー

オレスカバンド

〈現役女子校生6人組〉として昨夏にデビューしたポップなスカ・ロック・バンドが、元気いっぱいの笑顔を詰め込んだ〈卒業アルバム〉で、堺から世界へと飛翔する!!

〈人〉に向けて音楽をしている


写真/キシマリ(TRON)

 昨年7月にミニ・アルバム『俺』でデビューしたオレスカバンドは、これまで〈大阪は堺の現役女子高校生バンド〉というキャッチフレーズで人々にイメージされてきたところが大きいであろう。だが、「デビューしたらそういうイメージがひとり歩きすることは今から想像できるけど、それがオレスカを聴いてくれるきっかけになるのなら、なるべく多くの人に聴いてもらいたいと思っているから、それはそれでいいと思う」――デビュー直前の取材時にそんなクールなコメントをドラムのたえさんがしていて、このコたちはタダモノじゃないな、と感じたものである。その頃から自分たちが越えるべきハードルの初期設定が非常に高く、また自分たちのあるべき明確なヴィジョンを持っていたのだ。そんなオレスカバンドは今年の3月、高校卒業直後にアメリカ・ツアーを敢行し、帰国後すぐに全国ツアーをスタート。そのツアーで彼女たちが得たものは多いようだ。

「いままではCDも雑誌もライヴも、自分たちを表現する場所としていっしょやと思っていたんですけど、100%自分たちを出せる場所はライヴしかないな、と気付いた。それに気付いたとき、じゃあCDはCDの良さがあると改めて思ったし。ウチはライヴをすべきなんや、していきたいと思ったし、ライヴでもっとできることがあるやろ、とか。ホンマにアメリカ行って、1対1というか、バンドとお客さんでコミュニケーションが取れている気がしたんです」(いかす、ギター/ヴォーカル)。

 オレスカバンドは老若男女問わず誰もが心底楽しめて、演奏している側も尋常じゃないパワーを発しながらめいっぱい楽しんで、ポジティヴなエネルギーに満ち溢れた空間を作り出す、大きな才能を持った現場叩き上げのライヴ・バンドなのだ。

「このツアーをとおして、ウチらは〈人〉に向けて音楽をしているんやって実感したんですよ。どういう曲をどう思ってほしいか、結局その人にどうなってほしいかって考えると、ウチらはお客さんを楽しませたいんや、って思った。どんな楽しみ方であれ、そのきっかけを与えたいし、もっとそれを引き出したいですね」(いかす)。

 そんなエンターテイナーとしての強い自覚を持ったオレスカバンドは、ファースト・アルバム『WAO!!』をリリースしたばかり。これまでリリースされてきた彼女たちの曲は2トーンのリズムが中心の曲が多かったが、今作にはグランジ~ヘヴィー・ロックやファンク的サウンドなど新展開を見せるナンバーも多く収録されている。そして何と言ってもオレスカバンドならではといえるのが、少しセンティメンタルだったりもする、日常生活を送るなかでのちょっとした思いをおもしろい言葉使いで表したたえさんの歌詞や、天才的メロディーメイカーであるいかすによる、激キャッチー&ポップで人の心を震わせる力強さを持った美しいメロディーだ。

「もっと曲が良くなったらきっともっと楽しい、みたいなのはあります。〈もっと良くしたい!〉みたいなのがみんな強いから対立したりもするんですけど、やっぱり良いものを作ることが、結果として楽しいことに繋がると思うから。そこはやっぱり楽しみたいなぁと」(いかす)。

 歌詞とメロディーが良いだけじゃない。オレスカバンドの曲が持つ圧倒的なクォリティーの高さは、各メンバーによってそれぞれ練りに練られた出音と、その6つの音が合わさったときの文句なしの説得力とでもいおうか。各楽器の押し引きによるアレンジの妙、ニュアンスの出し方といったところにも、まだ全員18歳とは思えない抜群のセンスがキラリと光る深みがあるのだ。

「歌を歌っている人がいちばん伝えなあかんという責任はないし、バンドでやってるということはみんながそれを伝える責任があると思って。みんなが同じくらい歌詞の意味を理解したら良いと思うし。ちょうどこのアルバムを作っているときにそんな話をしてたんで、〈自分はこの楽器でどうやったらこの歌を表現できるんやろう?〉ってみんなが考え出したきっかけになったと思います」(たえさん)。

「ウチはギターを弾いて歌も歌っているから、ギターは絶対自分にしかわからへんところがあると思うわけじゃないですか。それと同時に、管楽器に関してはそいつに任せたほうが良いと思うし、そのコが絶対その楽器のことをわかっていると思うんですよ。だからそこまで干渉したくないっていうか。ホンマにその人と楽器はペアやな。だからたぶん6人で考えるんじゃないかな」(いかす)。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2007年06月07日 21:00

ソース: 『bounce』 287号(2007/5/25)

文/ダイサク・ジョビン

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