LONDON CALLING
ジョー・ストラマーの人生を追った話題の映画に痺れろ!
5年前、突然の死でファンを驚かせたクラッシュのフロントマン、ジョー・ストラマー。彼の生涯を描いたドキュメンタリー映画「LONDON CALLING -ザ・ライフ・オブ・ジョー・ストラマー」がこのたび日本で公開される。
「ジョーはキャンプファイアに人生の哲学を見い出したんだ。星空の下、炎を囲んで誰もが平等に語り合うことに大きな魅力を感じたようだ。自分の過去を何度も切り離し、変化し続けてきた彼にとって、丸くなって火を囲むという行為が一周して原点に戻ってきた自分の人生のように思えたらしい」。
そう話すのは、監督のジュリアン・テンプル。この作品は元クラッシュのメンバーやジョーの肉親、友達などがキャンプファイアを囲みながら彼について語っていく構成だ。そこに、ラジオ番組でのジョー自身の喋りや少年時代の8ミリ映像、写真、手描きのイラスト、学生の頃に組んでいたバンドのプロモ・クリップやニュース・リールなど貴重な素材が組み込まれる。
「彼は放浪するような生活が多かったが、歌詞の試作やイラスト、昔の写真など、細々したものをすべてプラスティックの袋に入れて保管してあった。その量たるや凄かったよ。彼の自宅の納屋をまるで泥棒みたいに掘り起こして素材を探したんだ(笑)」。
70'sパンクの8ミリ映画を作ることでプロの監督としての道を歩みはじめたテンプルは、セックス・ピストルズの映画「ノー・フューチャー」の製作を機にクラッシュ陣営の敵陣に身を置くことに。ジョーと彼とは70年代から面識があったが、付き合いはなかったそう。ところが90年代に奥さん同士が友達だったことから、2人の間に友情が芽生える。そういった関係の中で生まれたのがこの映画だ。
「ある日突然、家の門の前に立っているジョーがいた。びっくりしたね。彼に会うのは何十年ぶりだったから。これまで多くのロックスターと仕事をしたが、友達になりたいと思ったのはジョーだけだ。彼は常識的なロックスターではなかった。スターでいることを嫌い、名声と格闘し、呑み込まれないように努力していた。この映画を作ることで、彼の死を受け入れて前進できるんじゃないかと思う」――80年代はプロモ・クリップ監督として成功し、ハリウッドで長編映画を作ったキャリアも持つテンプルがこう話す。また、本編にはジョニー・デップやボノ、マーティン・スコセッシらがジョーから受けた影響について熱く語るシーンも。死後も圧倒的な存在感を持ち続ける男、ジョー・ストラマーがいまスクリーンに浮き彫りになるのだ。
2006年/アイルランド・イギリス 監督/ジュリアン・テンプル 出演/ジョー・ストラマー、ボビー・ギレスピー、ボノ他、9月8日より東京・渋谷アミューズCQN他、全国順次公開予定(配給/東北新社)
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