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インタビュー

土岐麻子(2)

本人がTALKIN'する、土岐麻子的シティー・ポップの名盤たち

 吉田美奈子さんの『FLAPPER』は永遠の〈憧れの一枚〉となるものですね。同世代のミュージシャンがみんなで美奈子さんのことを考えて作り上げてる感じが素敵。そういう〈世代感〉が多彩な音楽性にどこか一体感を感じさせていることに気付いて、『TALKIN'』に繋がった一枚です。そして山下達郎さんの『RIDE ON TIME』に収録されている“DAYDREAM”。この歌詞は〈つまらない現実も見方ひとつで楽しくなるよ〉っていう、夢を見させるんじゃなく、現状を受け入れつつ前向きに物事を歌っている。それこそ私が思い描いていたもので、それがこの曲に集約されているんです。それから、いわゆる〈シティー・ポップ〉と呼ばれていないもので、ブロッサム・ディアリーというジャズ・シンガーの『Sings:Blossom's Own Treasures』。ジャズをバックボーンにしながら、それを安易でなく良い感じにポップだったり、フレンチ・ロックっぽくしてる小粋な作品で、すごく参考になってます。次は私が選曲をした江利チエミさんの『KING RE-JAZZ SWING: CHIEMI SINGS』。スタンダードなジャズですが、敷居を高くせず多くの人に歌を届けようとしていて、なおかつ格好良い。そういう大衆性が素晴らしい! 最後は、これをポップスと言うのか……というtoeです。彼らは自分の好きなことしかやりたくないんですよね。多くの人に届かなくても仕方ないと思いつつ、たくさん聴かれちゃうという理想形。ここまでの人たちとは逆の精神ですけど、自分の理想をストイックに追求する姿勢は勉強になります!(談)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2007年12月13日 20:00

ソース: 『bounce』 293号(2007/11/25)

文/ヤング係長