DJ KAWASAKI
イイ男の後ろにはイイ女がいる。イイ女の後ろではイイ音楽が鳴っている。そんな音楽を作り出すのは、2008年に最初のビートを撃ち込むのは……
ハウス景気の立役者
写真/高岡 弘、モデル/大屋夏南(elite JAPAN)
ハウスを芯に、ポップネスとクロスオーヴァーな要素が溶け合うダンス・ミュージック──DJ KAWASAKIが生むそんな新しいサウンドが人気だ。ファースト・アルバム『BEAUTIFUL』が、いま盛り上がっている日本のハウス・シーンを活気づける起爆剤的な作品になったこともよく知られたところだろう。クラブ・コアなオーディエンスからまったくのポップ・リスナーまでを揺さぶるその魅力とは? 新しい年の幕開けを飾るニュー・アルバム『YOU CAN MAKE IT』の制作大詰めというタイミングで彼に迫ってみた。
「今回は前作よりソウルフルでエモーショナル、ドラマティックなものを作るように心掛けました。歌モノだけでなくインストでもそれが表現できたらいいなと思って」。
切なく美しいメロディーとキャッチーな歌が詰め込まれた『BEAUTIFUL』は、ハウスやクラブといった枠を越えてブレイク。異例なほど多くラジオからも流れた。極端な話、ハウスという音楽にそこで初めて出会ったという若いリスナーも多いはずだ。
「ポップなシーンとの垣根をなくしたいという気持ちはありましたね。例えばヒップホップやR&Bの人たちはアンダーグラウンドからメジャーなフィールドへどんどん進出していて、ポップ性もファッション性もあったりしますよね。そこはハウスにあまりなかったところで。だからメロディーの強さとか曲調のポップさはよく考えました。そこに藤井リナちゃんがジャケに出てくれたり、総合的な効果があって、多くの人が支持してくれたと思うんです」。
一方で、ハウス界からの強力なフォローもあった。特に名曲“BLAZIN'”は、ティミー・レジスフォードやダニー・クリヴィットらの大物DJをも大いに唸らせている。
「彼らが“BLAZIN'”をよくプレイしてくれたことが、半分手探りだった自分に、〈あのレヴェルのものを作っていけば世界へ行けるんじゃないか〉という確信を持たせてくれた部分はありますね」。
DJとしてのKAWASAKIは、そのダニーたちに大きな影響を受けてきたという。トラックメイク面はフィル・アッシャー、またトータルなプロデュース・ワーク面ではKyoto Jazz Massiveの導きを語る。
「MPC3000を使ったドラムにこだわるのはフィルの影響もあるし、デトロイトの音楽が好きだからでしょうね。あのザラついたローファイな感触というか。同じハウスでも、僕はソウルフルで土臭いものを通過してるんです」。
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