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インタビュー

DOUBLE FAMOUS

とにかく楽しみながら独自の音楽をクリエイトしてきた10人組が結成15周年! この記念すべき年に選んだ〈楽しみ〉はロックでした


  青柳拓次と栗林慧によるウクレレ・デュオを母体に、学生時代の仲間が中心となって93年に結成されたダンスホール楽団、Double Famous。それぞれ仕事を抱えながら、毎週火曜日の定期練習を欠かすことなく、コンスタントに演奏活動を継続してきた彼ら。仕事と音楽の両立というよりも日々の営みの延長として、商業ベースとは関係なく、あくまでも〈楽しむ〉ことを前提に音楽を奏でるスタンスは、多くの音楽家たちにとって、ある種、理想的なものといえるのではないだろうか。

「〈これで食っていこう!〉とか、そういう気持ちがなかったから、ここまで続けてこられたのかもしれませんね」(高木二郎、ベース)。

「長い間、活動を続けているバンドって、ある時から〈売れる/売れない〉っていう壁にブチ当たるようになると思うんですね。でも、幸運なことに僕らは、そういう壁にブチ当たることもなく、ライヴにも初期の段階から常にたくさんのお客さんが来てくれるような状況がずっと続いていて。それってすごく恵まれたことだと思うんです」(青柳拓次、アコーディオン/ピアノ/ギター)。

 そんなバンドの充実した15年を総括したような作品が、このたびリリースされる5枚目のアルバム、その名も『DOUBLE FAMOUS』。モンドで陽気なエキゾ・ロック“ふたりのインドロック”、ジャニス・ジョプリンの熱唱でも知られる“Me & Bobby McGee”、そしてヤードバーズの“Hot House Of Omagarashid”など、アルバム序盤に配されたカヴァー曲のセレクトが何よりも如実に物語っているように、今作のテーマは、ずばり〈ロック〉! B級アメコミを思わせるジャケットのアートワーク然り、さりげなく、かつ大胆に電気化されたサウンド然り、今作では、彼らが持つ一筋縄ではいかない魅力を作品全体から強烈に感じ取ることができる。

「前のアルバムは、家で聴けるようなものを心掛けていたんですが、サウンドが電気化したのは、たぶん、その反動なのかな。15年目にしてバンドが反抗期に突入した感じです(笑)」(青柳)。

「うちらは単に民族音楽を演奏してるバンドじゃないんだぞっていう(笑)。いままでのイメージに捉われずに、自分たちがいまおもしろいなと思えるようなサウンドをめざしていったら、徐々にロックな気分が高まっていったんです」(高木)。

 サウンドの色合いは異なれど、音楽を演奏することの〈楽しみ〉を何よりも優先する彼らの姿勢は今作でも変わることはない。そして、そんな〈楽しみの輪〉に今作からふたたび加わったのが、ソロ活動専念のため、しばらくバンドを離れていたシンガーの畠山美由紀。

「全然、違和感なくバンドに溶け込んで。やっぱり彼女が戻ってきたことによって、華やいだ感じが一気に増しましたよね」(青柳)。

 リリース後は怒涛の夏フェス十番勝負に突入。さらに9月27日と28日に東京と大阪でバンド主催の15周年イヴェントも開催される。

「これまでユルく活動してきたんで、今年は気合を入れてがんばらないと」(高木)。  

 15年目の反抗期(?)を迎え、ライヴに対するモチヴェーションもにわかに上昇。いつになく活発な展開を予定している彼らに大いに注目したい。

▼メンバーの関連盤を紹介。

▼メンバーに復帰した畠山美由紀の作品を紹介。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2008年07月03日 01:00

更新: 2008年07月03日 17:45

ソース: 『bounce』 300号(2008/6/25)

文/望月 哲

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