インタビュー

ブロック・パーティーとクラブ・ミュージックの素敵な関係

 新作『Intimacy』でギター・ロックの既成概念を打ち破り、クラブ・ミュージック寄りのアプローチを大胆に行ったブロック・パーティー。だが、この急接近が何も突然の思い付きなどでないことは、ファンならとっくの昔に承知だろう。デビュー作の時点で、そのリミックス盤『Silent Alarm Remixed』を作り、エロール・アルカンやニック・ジナー(ヤー・ヤー・ヤーズ)やレディトロンといったアーティストと仕事をしていたし、他にもストリーツことマイク・スキナーやボーイズ・ノイズが手掛けた“Banquet”、モグワイによる“Plans”のリミックスなども発表。センスが良いのか悪いのかわからない人選で、バンドのクセ者ぶりとチャレンジ精神とを窺わせた。それに準じて、2作目『A Weekend In The City』の際にも登場したリミックス盤『Flux:The Remixes』では、セバスチャンやダズ・イット・オフェンド・ユー・ヤー?やブリアルらを起用し、ふたたび交友関係と視野の広さを示していたし、ブラック・ストロボのリミックス・ワーク集『A Remix Selection』やキツネのコンピ・シリーズ〈Kitsune Maison〉、フィッシャースプーナーら人気DJたちのミックスCDなど、彼らのリミックス収録作品を挙げていけばキリがない。さらにケリー・オケレケがブレイク前にケミカル・ブラザーズの“Believe”にフィーチャーされていたことを考えると、新作へと繋がる予兆はデビュー当初から十分にあったということか。

 そういえば彼らのUS盤は、初期EPがスティーヴ・アオキのレーベルから、その後はヴァイスからライセンスされていることを考えると、そもそもロック・バンドでありながら常にクラブ界とは至近距離にあり、下地はしっかり築かれていたと言えそうだ。そして新作のリミックスが誰に依頼されるのか、それも気になるところ。
▼関連盤を紹介。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2008年10月30日 01:00

更新: 2008年10月30日 17:07

ソース: 『bounce』 304号(2008/10/25)

文/村上 ひさし

記事ナビ