Bloc Party
ポスト・パンクとビキビキの電子音がキスをした瞬間、その扉はネクスト・ステージに向けて開け放たれた! ありきたりのロックに辟易しているなら、刺激的なものが大好物なら、いますぐパーティーに参加せよ!!
ギター中心のロックは退屈だね
衝撃作? 問題作? すでに先行シングル“Mercury”のリリース時点から、ファンやUKロック・コミュニティーの間で賛否両論が交わされてきたブロック・パーティーのニュー・アルバムが、ついに日の目を見た。いやはや、予想を遥かに裏切る〈いったいどうしちゃったの?〉な方向性に口をアングリ。溢れ出すエレクトロニックなビートに、飛び交うサウンド・エフェクトの嵐──もはやギター・ロックの範疇を逸脱しまくっているどころか、ケミカル・ブラザーズやティンバランドもビックリのドラスティックな変貌だ。そのチャレンジ精神に、まずは拍手を贈りたい。しかしそれにしても、いったいどうしちゃったわけなのか。
「ここ数年、僕がいちばん影響を受けてる音楽のひとつがR&Bなんだけど、そのR&Bのなかにはたったひとつのベース・パターンを基にして作られた曲とかがあるよね? そういうのが、すごくおもしろいなって思っていて、僕らもそういった方向に進めたらと考えているほどなんだ。そのほうがよっぽどいろんな可能性があるからさ。逆に、巷に溢れるギター中心のロックはほとんど行き詰まってる感じに聴こえるし、すごく退屈だよね。もはやすべてやり尽くされたっていうかさ。だからブロック・パーティーは別の方向に進んでいきたいんだ……〈何でもアリ〉っていうね。例えばミッシー・エリオットのレコードなんかは、〈3分間のなかで何だってできる〉っていう可能性に溢れている。僕はそのエネルギーをブロック・パーティーにも採り入れたいんだよ」(ケリー・オケレケ、ヴォーカル/ギター:以下同)。
どうりで。ロック・バンドのアルバムというよりも、エレクトロニック・ビートを主軸にしたダンス・ユニットのそれに近いニュアンスだ。今年5月にリリースされた彼らのリミックス・アルバム『Flux: The Remixes』を思い浮かべる人も多いだろう。そもそも今作は、レコーディング時点からこれまでとはまったく違った手法で作られている。
「アルバムの半分くらいは、いままでと違ったアプローチで曲作りを行ってみたんだ。全員でいっしょに作っていくのではなく、僕がコンピューターの前に座ってビートを入れていく……そういうプロセスだったんだよ。だから、そこがいちばん大変でもあったね。みんなでリハーサル・ルームに入って、どんな曲になるかを確かめながら作業していくんじゃなくて、僕以外の3人には僕のやろうとしていることをとにかく信頼して、任せてもらわなきゃいけなかったから」。
▼ブロック・パーティーの作品を紹介。
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カテゴリ : インタビューファイル
掲載: 2008年10月30日 01:00
更新: 2008年10月30日 17:07
ソース: 『bounce』 304号(2008/10/25)
文/村上 ひさし