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インタビュー

VARIOUS ARTISTS 『雪と花の子守唄 ―バカラック・ララバイ集―』 Living Records Tokyo



  〈りんごの子守唄〉に続いて鈴木惣一朗が贈る〈子守唄シリーズ〉最新作、『雪と花の子守唄』。前作の〈お題〉がビートルズだったのに対して、今回はポピュラー・ミュージック界の巨匠、バート・バカラックに挑戦する。ビートルズに比べると、バカラック・ナンバーはプロの歌手のために作られたプロによる完璧なポップ・ソング。鈴木惣一朗は時にはデリケートに、時にはハメをはずして、〈洗練と野蛮〉の心構えでバカラックに向かい合った。

まず、オープニングの千葉はな“Close To You”からコトリンゴ“The April Fools”へと続く流れは、まさに子守唄的な穏やかさに満ちたアレンジで。“Painted From Memory”では、saigenjiのソウルフルな歌声がエルヴィス・コステロを彷彿させつつ、柔らかなコーラスがその歌声をそっと包む込む。コーラス・アレンジは本作のキモだが、さかいゆう“Alfie”は女性コーラスが雪のように舞い降りるシルキーな仕上がりだ。

一方、アレンジのユニークさが全面に出ているのが、チップマンクス風のコーラスが可愛い土岐麻子“Magic Moments”や、細野晴臣“CHATTANOOGA CHOO CHOO”のフレーズが飛び出す、おおはた雄一“Me, Japanese Boy”など。ジャジーな永山マキ“The Windows Of The World”では、バカラックのビターな部分にさりげなくスポットを当てている。そしてラストは、〈子守唄シリーズ〉常連のアン・サリーが未発表曲“Someday”をしっとりと歌い上げて、アルバムは静かに閉幕。そして、そこから美しい夢が始まるのだ。それではみなさん、おやすみなさい。

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掲載: 2009年03月12日 18:00

更新: 2009年03月12日 23:00

文/村尾 泰郎