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インタビュー

オレスカバンド

〈ワープト・ツアー〉を経て、さらに絆と自信を深めた6人。そこで得たものがアリかナシか、〈素晴らしい世界〉で白黒はっきりさせましょう!


  ハタチという年齢だけでもキラキラと眩しいのに、この1年でタフな経験と確かなスキルを積み上げた、いまのオレスカバンドの輝きっぷりはハンパじゃない。2枚連続リリースとなるミニ・アルバム『What a Wonderful World! vol.2』(=通称〈黒盤〉)は、もともと1枚のアルバムとして構想されたものの半分だが、前作〈vol.1〉=(白盤)の録音との間には昨年夏の全米46都市を回った〈ワープト・ツアー〉があったため、演奏のパワーもライヴ感もいきなりレヴェルアップ。ただの続編ではなく、明るい未来に目を向けた新たな旅立ちムードいっぱいの作品に仕上がっている。

「〈白盤〉は〈ワープト〉に行く前の不安な気持ちとか、久しぶりに出す作品ということで、〈わかってもらいたい!〉という力んだ気持ちとかいろんな感情があって、バンド自体も緊張していて。そういうエネルギーが詰まってたと思うんですけど、〈黒盤〉は〈ワープト〉に行って感じたことがそのまま音になってます。“What a Wonderful World”という曲が出来たのも、そのツアーに行って〈この気持ちを音で伝えられたら最高やな〉と思ったからだし」(リーダー、トロンボーン)。

「〈ワープト〉でいっしょにいた人たちが、音楽してる時も日常生活も、身体から溢れるぐらい個性を出しているのを見て、私も〈もっと自分らしくあろう〉と思えたので。いままではシリアスに考えることが多かったんですけど、今回はすごい楽しんで、3人でホーンを録っている時も〈ここピャーンやな〉とか、やたら擬音が多い(笑)。ライヴを想像しながらテンションを上げて演奏できたのが、白盤との違いじゃないかなという気がしてます」(もりこ、サックス)。

 イケイケのアッパーな曲が多かった前作と比べると、今回はミディアム・テンポで歌詞のメッセージをしっかり伝える“カメレヨン”や“believe”など、聴かせるタイプの曲が多い。なかでもラストを飾る“What a Wonderful World”は、メンバー全員が魂を込めて演奏したとても大切な曲だという。

「そういうタイトルの曲を作りたいって、〈ワープト〉の最中にたえさん(ドラムス)から話があったんです。〈おう、作ろうや!〉ってなったんですけど、〈素晴らしい世界!〉と思った瞬間の感情を音にするのがすごい難しくて、苦戦しました。ホーン隊もワンダフルな音をめざしてたんですけど、ついハッピーな音になってしまって、なんかちょっと違う~、とか。白盤でもお世話になったグレッグ・コリンズ(U2、ノーダウト、レッド・ホット・チリ・ペッパーズなどを手掛けたエンジニア/プロデューサー)といっしょに作ったこともあって、すごい思い入れがある曲なんです」(サキ、トランペット)。

「自分のいる場所から出て新しい世界を見ていこう、という気持ちがこの曲には入っているので、就職とか進学をした人たちにすごく聴いてほしいです。しかも〈がんばれ、元気出せよ!〉ってただ言うだけじゃなくて、雨が降ってる時に出掛けやすくなるために素敵な傘をプレゼントするみたいな、そういう素敵な歌になったと思います」(リーダー)。

 2007年以降は海外での活動の多かったオレスカバンドが、腰を据えて日本のリスナーに音楽を届ける決意を固めたこの春。〈PUNKSPRING〉など大規模なフェス出演を経て、4~5月にかけて行われるワンマン・ツアーが、大きな飛躍へ向けての最初の踏み切り台になる。

「リリース前から黒盤の曲をライヴでやりはじめたんですけど、全然違いますね。新曲とは思えないぐらいみんなノッてくれて、すごい楽しいです」(リーダー)。

「来てくれる人が〈What a Wonderful Worldやな〉って思ってくれるライヴにしたいと思ってるんですけど、それだけじゃなくて、〈What a Wonderful World〉の入口を作りたいんですよ。うちらのライヴに来ることで、それぞれの〈素晴らしい世界〉の入口を見つけられるような、そんなライヴにしたいです」(サキ)。

 インタヴューに答えてくれた3人の、キラキラと輝く瞳を見て思う。ひたむきにがんばる人の目に映る素晴らしい世界のサウンドトラックには、オレスカバンドがいちばんよく似合うと。

▼オレスカバンドが参加した作品を紹介。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2009年05月21日 10:00

更新: 2009年05月21日 17:21

ソース: 『bounce』 309号(2009/4/25)

文/宮本 英夫

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